問 題
50歳男性。躁病のため3年前より処方1の薬剤を服用しており、状態は良好であった。最近、高血圧と診断され、処方2の薬剤を併用しながら、低塩食を続けていたが、食欲不振、振戦、傾眠が増強してきたので、近医で診察を受けた。
問200
食欲不振、振戦、傾眠が増強した理由として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 低塩食により血清中リチウムイオン濃度が上昇した。
- トリクロルメチアジド錠服用により血清中リチウムイオン濃度が上昇した。
- アムロジピンベシル酸塩錠服用により血清中リチウムイオン濃度が上昇した。
- 低塩食により血清中リチウムイオン濃度が低下した。
- トリクロルメチアジド錠服用により血清中リチウムイオン濃度が低下した。
- アムロジピンベシル酸塩錠服用により血清中リチウムイオン濃度が低下した。
問201
治療薬物モニタリング(TDM)に指定されている血清中リチウムイオン濃度の測定には原子吸光光度法が用いられる。次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 原子吸光光度法は、光が原子蒸気層を通過するとき、励起状態の原子が特有波長の光を吸収する現象を利用する。
- 原子吸光光度法の光源部には主にキセノンランプが用いられる。
- 原子吸光光度法の試料原子化部にはフレーム方式、電気加熱方式、冷蒸気方式がある。
- 定量に際しては、干渉やバックグラウンドを考慮する必要がある。
- リチウム原子は、黄色光を選択的に吸収する。
正解.
問200:1, 2
問201:3, 4
解 説
問200
眠気や食欲不振などは、リチウム中毒の症状と考えられます。すなわち、血清中リチウム濃度が上昇しているのが原因と考えられます。
低塩食は、体内のナトリウム濃度を低下させます。ナトリウムの濃度が低下すると、ナトリウムの排泄が低下します。ナトリウムと、リチウムの排泄は連動しているため、リチウムの排泄も低下するためリチウム濃度が上昇することがあります。
又、トリクロルメチアジドのような利尿剤を服用すると、利尿によりナトリウムの濃度が低下します。すると、低塩食と同様の機構により、リチウム濃度が上昇することがあります。
以上より、正解は 1,2 です。
問201
原子吸光光度法の原理は、測定原子特有の波長の光を通過させることで基底状態にある原子が光を吸収して励起状態に遷移することです。よって、励起状態の原子が吸収するわけではありません。選択肢 1 は誤りです。
原子吸光光度法の光源部には、中空陰極ランプが用いられます。キセノンランプは、蛍光分光光度計に用いられる光源です。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3, 4はその通りの記述です。
リチウム原子は、炎色反応で赤色であることから、吸収する光が選択的に黄色であるとは考えられません。(赤の補色は青~緑であるため)よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
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