問 題
56歳男性。身長166cm、体重56kg。5年前に高血圧を指摘され、処方1で治療を行っていた。1年前から全身倦怠感、口渇が出現し持続するため、近くの診療所を受診したところ、糖尿病と診断され、食事療法と運動療法を指導された。
しかし、血糖コントロールが改善しなかったため、今回、処方2の薬剤が追加された。
問198
この患者に対する服薬指導として、適切なのはどれか。2つ選べ。
- グリベンクラミド錠を飲み忘れて食後1時間以上経過した場合、翌朝に2回分を服用すること。
- グリベンクラミド錠の服用により体重が増加することがあるので、食事療法と運動療法をしっかり行うこと。
- グリベンクラミドの代謝物で尿が赤みを帯びることがあるが、問題がないので飲み続けること。
- テモカプリル塩酸塩錠の有効性を損う場合があるので、納豆の摂取は避けること。
- テモカプリル塩酸塩錠の服用により、咳が出た場合には、医師又は薬剤師に連絡すること。
問199
グリベンクラミドの作用機序である膜電位変化として、最も近い値はどれか。1つ選べ。
膵臓ランゲルハンス島β細胞における平衡膜電位φm(mV)は、以下の式で近似されるとする。
PK+はK+の膜透過係数、PNa+はNa+の膜透過係数を示す。細胞内外におけるイオン組成は以下の表に従うとする。
ただし、静止状態でPK+はPNa+の25倍の値を示し、一方、グリベンクラミド存在下では、PK+はPNa+の4倍にまで阻害されるとする。また、静止膜電位は-69mV、細胞内外のイオン組成は変化しないと仮定する。
log101.8=0.26、log102.8=0.45、log103.8=0.58とする。
- +35mV
- +25mV
- +15mV
- -15mV
- -25mV
正解.
問198:2, 5
問199:1
解 説
問198
飲み忘れた時に 2 回分を服用すると、血中濃度が急上昇し急激に血糖値が低下することによる低血糖症状のおそれがあります。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 はその通りの記述です。
代謝物による尿の赤みは特に知られていません。よって、選択肢 3 は誤りです。
納豆の摂取を避けるべき薬物はワルファリンです。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 はその通りの記述です。
以上より、正解は 2,5 です。
問199
グリベンクラミド存在下での平衡膜電位を計算します。まず、PNa+ =x、PK+ =yとおけば
y=4x と表すことができます。
よってφm は、与えられた数値を代入すると以下のように表すことができます。
ここで、分数部分に注目すると
となります。
つまり、グリベンクラミド存在下での平衡膜電位は、約 -34 mV です。一方、静止膜電位は、-69mVとあるので、グリベンクラミドを使用することで膜電位が+35mV 増えています。
以上より、正解は 1 です。
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