問 題
薬物の肝臓への分布及び胆汁中排泄に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 肝実質細胞の血管側膜には種々の輸送担体が発現し、多くのアニオン性薬物やカチオン性薬物の肝取り込みに関与している。
- 肝実質細胞から毛細胆管への薬物輸送機構は、多くの場合、薬物の濃度勾配を利用した単純拡散である。
- 分子量の小さい薬物ほど、胆汁中へ排泄されやすい。
- 血中においてアルブミンに結合している薬物もDisse腔に入り、肝実質細胞の近傍に到達することができる。
- 肝臓において抱合代謝を受け、胆汁中に排泄された薬物は、一般に分子量が大きく親水性が高いので、すべて糞便中へ排泄される。
正解.1, 4
解 説
選択肢 1 はその通りの記述です。
薬物の胆汁中への排泄は、主に能動輸送によるものです。
よって、選択肢 2 は誤りです。
胆汁中へ排泄されやすいのは、分子量が約 500 以上であり、脂溶性が高いものです。よって、分子量の小さい薬物ほど胆汁中へ排泄されるわけではないです。選択肢 3 は誤りです。
Disse (ディッセ)腔とは、肝臓における肝細胞と、類洞(毛細血管)の間の領域です。血しょうが分布しており、記述の通り、血中においてアルブミンに結合している薬物もDisse腔に入り、肝実質細胞の近傍に到達することができます。
胆汁中に排泄された薬物の一部は、腸管から再度吸収され門脈を経て肝臓に戻る循環を経ます。これを腸肝循環と呼びます。よって、すべて糞便中に排泄されるわけではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
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