薬剤師国家試験 第98回 問165 過去問解説

 問 題     

抗菌薬の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. バンコマイシンは、ペプチドグリカン末端に結合し、細胞壁の合成を阻害する。
  2. ミノサイクリンは、細胞膜を障害し、細菌の細胞内物質を漏出させる。
  3. イソニアジドは、ミコール酸の生合成を阻害し、結核菌に対して抗菌作用を示す。
  4. ホスホマイシンは、細菌のリボソーム30Sサブユニットに作用し、アミノアシルtRNAとリボソームの結合を阻害する。
  5. セフジニルは、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、RNA合成を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

選択肢 1 はその通りの記述です。

ミノサイクリンは、テトラサイクリン系の抗生物質です。アミノアシルtRNAが、mRNA・リボソーム複合物と結合するのを妨げます。細菌のリボソーム 70Sリボソーム中の、30Sリボソームに特異的に作用します。よって、細胞膜を障害するわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 はその通りの記述です。

ホスホマイシンは、細菌の細胞壁合成過程(ペプチドグリカン合成)を阻害し殺菌的に作用します。よって、リボソームに結合して作用するわけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
DNA 依存性 RNA ポリメラーゼ阻害は、リファンピシンなどに関する記述です。セフジニルは、セフェム系抗生物質です。細胞壁合成を阻害することで作用します。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,3 です。

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