薬剤師国家試験 第98回 問126 過去問解説

 問 題     

以下の疫学調査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 患者発生地域と汚染地域が一致するために、カドミウムを原因とする仮説が立つ。
  2. この調査は、介入研究である。
  3. この調査は、症例対照研究である。
  4. この調査では、交絡因子に関する情報は得られない。
  5. この結果からオッズ比を求めることができる。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 はその通りの記述です。

介入研究とは、疾病と因果関係があると考えられる要因に、積極的に介入する研究です。例えばカドミウム解毒剤を投与した群と、そうでない群の有病率を調べるといった研究になります。本問の疫学調査は、カドミウム汚染地域と汚染程度、及びイタイイタイ病有病率を調査しており介入は見られません。よって、選択肢 2 は誤りです。

症例対照研究とは、疾病に罹患した集団を対象に、暴露要因を調査し、対照として罹患していない集団についても同様に暴露要因を調査するような研究です。後ろ向き研究とも呼ばれます。例えば、イタイイタイ病患者において、魚をここ1週間以内に食べたかどうかを調査し、病気にかかっていない人にも同様に、魚をここ1週間以内に食べたかどうか調査するような研究です。本問の疫学調査では、暴露要因の調査や、対照に関する調査は見られません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 はその通りの記述です。
本調査だけでは、交絡因子についての情報を得ることはできません。

交絡因子とは、因果関係「AならばB」という関係を考えた時に、A にも B にも影響を与えるような、別の因子 C のことです。例えば「コーヒーをたくさん飲む人は、太っている」という関係を考えた時に、事実として「タバコをよく吸う人は、コーヒーを飲む」し「タバコをよく吸う人は、太っている」という関係があったとすると、「タバコをよく吸う」というのが交絡因子です。

オッズ比とは、ある事象の起こりやすさの比です。本問では、オッズ比を求めることはできません。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,4 です。
参考) 衛生薬学 2-3 4) 

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