薬剤師国家試験 第98回 問112 過去問解説

 問 題     

図は、ある内分泌器官の顕微鏡像をスケッチしたものである。この器官に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. A層から分泌されるホルモンは、腎臓に作用してNaや水の再吸収を促進し、体液を保持する。
  2. B層から分泌されるホルモンには、抗炎症作用、免疫抑制作用がある。
  3. C層から分泌される主要なホルモンは、ペプチドホルモンである。
  4. 皮質の機能が亢進するとアジソン病になる。
  5. 髄質を支配する交感神経終末からは、ノルアドレナリンが放出される。

 

 

 

 

 

正解.1, 2

 解 説     

スケッチには、髄質、皮質とある事から、組織は副腎であると考えられます。副腎皮質から分泌されるホルモンは、多数のステロイドホルモンです。副腎髄質から分泌されるホルモンは、カテコラミンです。A層は、球状帯、B層は、束状帯、C層は、網状帯と呼ばれます。

球状帯から分泌されるのは、主に鉱質コルチコイドです。腎臓に作用して、Na+や水の再吸収を促進し、体液を保持します。

束状帯から分泌されるのは、主に糖質コルチコイドです。抗炎症作用や、免疫抑制作用があります。

網状帯から分泌されるのは、主にアンドロゲンです。よって、ステロイドホルモンであり、ペプチドホルモンではありません。選択肢 3 は誤りです。

アジソン病とは、副腎皮質ホルモンが何らかの原因で、必要な量を分泌できなくなった状態のことです。副腎皮質機能低下症とも呼ばれます。よって、選択肢 4 は誤りです。

ふつう、交感神経終末からは、ノルアドレナリンなどにより神経伝達が行われますが、副腎髄質を支配する交感神経は少し特殊です。すなわち、副腎髄質を支配する交感神経は、中枢神経から出たのち、神経節でニューロンを乗り換えることなく直接副腎髄質へと到達しています。神経終末では、アセチルコリンを放出します。(つまり、副腎髄質と、神経細胞は同じようなこと(アセチルコリンを受け取り、アドレナリンやノルアドレナリンを放出)をやっているということです。)よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,2 です。

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