薬剤師国家試験 第97回 問335 過去問解説

 問 題     

循環器系疾患の薬物治療に関して、薬剤師が医師へ提案する内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

  1. 徐脈を伴う重症心不全の患者に対して、心機能改善を期待してプロプラノロール塩酸塩を使用する。
  2. 心房細動を伴うWPW(Wolff-Parkinson-White)症候群のある患者に対して、抗不整脈作用を期待してベラパミル塩酸塩を使用する。
  3. QT時間が延長している患者に対して、心室頻拍への移行防止を期待してソタロール塩酸塩を使用する。
  4. 肥大型閉塞性心筋症の患者に対して、心筋収縮力の増強を期待してジゴキシンを使用する。
  5. アンギオテンシン変換酵素阻害薬による治療を受けている慢性心不全の患者に対して、予後改善効果を期待してカルベジロールを使用する。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

プロプラノロールは、β 遮断薬です。徐脈を伴う患者には、徐脈をより悪化させてしまう可能性があり、適しない薬です。よって、選択肢 1 は誤りです。

ベラパミルは、WPW 症候群のある患者には、慎重投与です。房室伝導抑制作用により、心房興奮が副伝導路を通りやすくなる結果として、心室細動を生じることがあるためです。よって、選択肢 2 は誤りです。

ソタロールは、QT 延長を引き起こすため、警告が出ており、QT 延長症候群の患者には併用禁忌です。よって、選択肢 3 は誤りです。

ジゴキシンは、心筋収縮力を増強した結果、左室流出路の閉塞を悪化させることがあるため、肥大型閉塞性心筋症には禁忌の薬です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は適切な内容です。

以上より、正解は 5 です。

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