問 題
55歳男性。高血圧を指摘され、Ca2+チャネル遮断薬を処方されているが、不定期にしか受診していなかった。今回、足に傷ができて治らないと相談に来局した。
右足に直径5㎝大の皮膚潰瘍があり、病変部は悪臭を伴っていた。すぐ、内科受診を勧めた。内科受診時、以下の所見を示した。
【身体所見】
BMI 27、血圧 150/90mmHg
【尿検査】
尿潜血 (−)、尿タンパク (2+)、尿糖 (4+)、ケトン体 (−)、尿中Cペプチド 50μg/日(正常値 35~140μg/日)
【血液検査】
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST) 25IU/L、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT) 30IU/L、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP) 50IU/L、血中尿素窒素(BUN) 20mg/dL、血清クレアチニン(Scr) 1.0mg/dL、空腹時血糖 210mg/dL、HbA1c 9.6%
問300
この患者に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 膵臓のインスリン分泌能は廃絶している。
- 血圧は130/80mmHg未満を維持するように治療する。
- 腎病変の早期検出には尿中アルブミンを検査する。
- 食事療法が必要である。
- 足の病変は、細小血管障害が関与している。
問301
この患者の処方薬として考えられる医薬品とその医薬品添付文書に記載されている成人に対する1日投与量の制限との組合せのうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 医薬品 1日投与量の制限
- グリベンクラミド錠2.5mg 10mgまで
- シタグリプチンリン酸塩水和物錠50mg 100mgまで
- ピオグリタゾン塩酸塩錠30mg 90mgまで
- ボグリボース錠0.2mg 0.9mgまで
- トルブタミド錠500mg 2,000mgまで
正解.
問300:1
問301:3
解 説
問300
尿中 C-ペプチドとは、インスリンが合成される前段階の物質が分解される時に発生する物質です。C-ペプチドを測定することで、膵臓からのインスリン分泌量を把握することができます。本問において、尿検査の結果、正常値範囲内のC-ペプチドが測定されていることから膵臓のインスリン分泌能が廃絶しているわけではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ~ 5 はその通りの記述です。
糖尿病合併高血圧の降圧目標は、130/80 mmHg 未満とされています。
糖尿病性腎症の早期診断基準として、尿中アルブミン値が用いられています。
食事療法、及び、運動療法が必要になります。
足の病変は、細小血管障害により、血流が滞ることによる栄養不足によるものと考えられます。
以上より、正解は 1 です。
問301
選択肢 1,2,4,5 はその通りの記述です。
ピオグリタゾンは、通常、成人には 15 ~ 30 mg を1日1回朝食前又は朝食後に経口投与します。1日量の上限は、45 mg までです。
以上より、正解は 3 です。
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