問 題
63歳女性。関節リウマチと診断され、処方1で治療を行った。
問260
サラゾスルファピリジンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- T細胞及びマクロファージでのサイトカイン産生を抑制する。
- IgMのS-S結合切断作用を示す。
- おとりのヒト型可溶性腫瘍壊死因子(TNF)受容体として働き、TNF-αの作用を抑制する。
- ピリミジン合成を阻害し、細胞増殖を抑制する。
- 関節リウマチ以外に潰瘍性大腸炎に用いられる。
問261
処方1で治療を行ったが、10週間後も効果がなく、処方2への変更が検討されている。処方2の服薬指導として、誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 1週間のうちの特定の日に服用することを強調して、誤用、過量投与を防止する。
- 効果発現までには時間がかかることを説明する。
- 間質性肺炎を発症することがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難などの症状があらわれた場合には、直ちに連絡するように説明する。
- 口内炎があらわれた場合には、直ちに連絡するように説明する。
- 関節リウマチの治療において、他剤が無効の場合にのみ使用すると説明する。
正解.
問260:1, 5
問261:5
解 説
問260
サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)は、腸の炎症をしずめる薬です。抗炎症作用は、大腸で分解されるサリチル酸による作用です。潰瘍性大腸炎などに用いられます。
サラゾスルファピリジンは、体内に吸収され、T細胞やマクロファージに作用することでこれらの細胞からのサイトカイン産生を抑制することで、抗リウマチ薬としても機能します。
以上より、正解は 1,5 です。
ちなみに、選択肢 2 は、DMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬)の一つであるブシラミン(リマチル)についての記述であると考えられます。
選択肢 3 は、エタネルセプト(エンブレル)についての記述であると考えられます。完全ヒト型由来の抗体医薬品で、抗リウマチ薬です。
選択肢 4 は、メトトレキサートについての記述であると考えられます。ピリミジン代謝におけるDHFレダクターゼを阻害することで、テトラヒドロ葉酸の合成を抑えて免疫を抑制する、抗リウマチ薬です。
問261
メトトレキサートは、関節リウマチの世界的な標準薬です。効果の発現には、1~2ヶ月かかります。リウマチによる関節破壊を阻止する目的で、発症早期から用いられる薬です。よって、選択肢 5 は誤りです。
1週間単位の服用量が、通常6mgです。6mgを、1回又は2~3回に分けて服用します。分割する際は、12時間毎に服用します。副作用防止のために、メトトレキサート服用の1~2日後に、葉酸(フォリアミン)と併用することがよくあります。
効果が高い分、副作用もでやすい薬です。間質性肺炎も、まれに発症することがあります。又、重篤な血液成分の異常も、まれに発症することがあるので、口内炎などがあらわれた場合、白血球減少が疑われるため、直ちに医師に連絡することが必要です。
以上より、正解は 5 です。
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