問 題
薬物の組織移行に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 皮膚、筋肉、脂肪などの組織では、組織単位重量あたりの血流量が小さいために、一般に血液から組織への薬物移行が遅い。
- 脈絡叢では上皮細胞どうしが強固に結合し、血液脳脊髄液関門を形成している。
- 分子量5,000以下の薬物は、筋肉内投与後、リンパ系に選択的に移行する。
- 組織結合率が同じ場合、血漿タンパク結合率が低い薬物に比べ高い薬物の分布容積は大きい。
正解.1, 2
解 説
薬物が組織に移行する速度は、組織への血流速度などに依存します。血液の流れに乏しい組織(例として、皮膚や筋肉や脂肪)では、分布が一般に遅くなります。
脈絡叢とは、脳脊髄液を産生する部位です。上皮細胞同士が密着結合をした、血液脳脊髄液関門が形成されています。
皮下投与や、筋肉内投与を行った薬物は、分子量が5000以上になるとリンパ管系へと移行する傾向が見られます。よって、分子量5000以下の薬物が、筋肉内投与後、リンパ系に選択的に移行するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。
まず、血漿タンパクと結合している薬物は、組織へと移行することができません。又、分布容積とは、投与した薬物量と血中濃度の比です。言い換えると、投与した薬物がどの程度組織へと移行したかを示す量であり分布容積が大きいほど、組織へと移行したことを示します。よって、血漿タンパク結合率が高い薬物の方が、組織へと移行しづらく分布容積は小さい値を示すはずなので、選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 1,2 です。
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