問 題
水道原水に塩素を注入すると、塩素注入量と残留塩素濃度について図のような関係がみられた。これに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- aの塩素量を塩素要求量という。
- (b-a)の塩素量を塩素消費量という。
- 純水の場合には、この原水に比べて、塩素消費量と塩素要求量が大きい。
- aとcの間で主に検出される残留塩素は結合残留塩素である。
- 我が国の水道水消毒では、b以上の塩素量を注入する方法が用いられている。
解 説
グラフの各点、及び補足解説をまず初めに行います。
a は塩素消費量、c は塩素要求量 と、それぞれ呼ばれます。また、c におけるグラフ上の点は不連続点と呼ばれます。
a-b 間は結合残留塩素、b-c 間では結合残留塩素+塩素による結合残留塩素の分解がおきています。c 以降は、遊離残留塩素のみが増加していきます。そもそも、清浄な水では c 以降のみのグラフになります。塩素を消費する成分があると、初めのうちまったくグラフが上がりません。アンモニア成分がある時に、結合塩素が出てくるので、いったん山になります。
以下、各選択肢を検討します。
a の塩素量は、塩素消費量と呼ばれます。よって、選択肢 1,2 は誤りです。塩素注入量が 0 ~ a では、塩素を消費する成分(鉄分など。)に対する塩素消毒が行われています。塩素が消費されるので、残留塩素は増えません。
純水の場合は、塩素を消費する成分が含まれないため、塩素消費量は 0 です。よって、選択肢 3 は誤りです。ちなみに、塩素要求量とは c の値のことです。純水であれば、塩素要求量も 0 です。
選択肢 4 はその通りの記述です。
この部分は、アンモニア性の窒素が含まれる時に現れます。結合残留塩素とは、クロラミンのことです。クロラミンとは、NH2Cl、NHCl2、NCl3 の総称です。結合残留塩素は、遊離残留塩素より消毒能力は弱いのですが、消毒能力はあります。ある程度すると塩素濃度が下がるのは、注入される塩素と、結合残留塩素が反応されていくからです。
我が国の水道水消毒では、蛇口において遊離残留塩素を 0.1mg/L , 結合残留塩素の場合は 0.4mg/L 以上保持するよう規定されています。塩素注入量に関しての規定はありません。よって b 以上の塩素量を注入すると決まっているわけではないので、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
コメント