薬剤師国家試験 第97回 問125 過去問解説

 問 題     

保健統計に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 粗死亡率は、年齢構成の影響を受けるため、年齢構成の異なる集団の比較には適していない。
  2. PMI(50歳以上死亡割合)は、人口や年齢構成がわからなくても算出できるため、国際的に健康水準を測る指標として利用される。
  3. 年齢3区分別人口における老年人口は、75歳以上の人口である。
  4. ある年齢における平均余命は、その年の平均寿命から年齢を差し引くことで算出される。
  5. 国勢調査は、人口の規模、構造などの特徴を明らかにするための人口動態調査である。

 

 

 

 

 

正解.1, 2

 解 説     

選択肢 1 はその通りの記述です。
粗死亡率とは、1年間の死亡数をその年の人口で割った値のことです。よって、高齢者の多い集団ではより高くなる傾向にあります。いいかえると、連齢構成の影響を受ける指標です。

選択肢 2 はその通りの記述です。
PMI (Proportional Mortality Indicator) とは、死亡者総数に占める、50歳以上の死亡者数の割合のことです。この指標を求めるために必要な情報は、死亡者総数と、死亡者の年齢であり人口や、年齢構成は必要ありません。

年齢 3 区分別人口とは、年少人口と、生産年齢人口と、老年人口の 3 区分に分類した人口のことです。年少人口とは15歳未満の人口のことです。生産年齢人口とは、15~64歳未満の人口のことです。老年人口とは、65歳以上の人口のことです。よって、老年人口が75歳以上の人口ではないので、選択肢 3 は誤りです。

平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が、平均して後何年生きることができるかという指標です。そのため、ある年齢における平均余命は、その年の平均寿命からは、算出することはできません。(ある年齢における平均余命は、『ある年齢分前の年の、平均寿命』すなわち、今ある年齢の人が 0 歳だった時の平均寿命から今の年齢を引けば算出することができると考えられます。)よって、選択肢 4 は誤りです。

国勢調査とは、5年ごとに行われる、人口と世帯の実態を明らかにすることを目的としたアンケート調査です。日本国内に住んでいるすべての人・世帯を対象として行われます。外国人も、国籍に関係なく調査の対象となります。このような、ある特定時点の人口の統計は、人口静態統計と呼ばれます。よって、人口動態調査ではないため、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1,2 です。

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