問 題
真核細胞における遺伝子の転写及びその生成物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- メッセンジャーRNA(mRNA)は細胞質で合成される。
- RNAは、1種類のRNAポリメラーゼにより合成される。
- 合成されたmRNAの5’末端にはキャップ構造が、また、3’末端にはポリAがそれぞれ付加される。
- 成熟mRNAにはイントロンが含まれる。
- RNAポリメラーゼのプロモーターへの結合には、基本転写因子が必要である。
解 説
mRNA は、核内で合成されたのち、核膜を通じて細胞質へと輸送されます。よって、細胞質で合成されるわけではないので、選択肢 1 は誤りです。
(脇道の話です。※RNAの核外輸送機構に関しては、まだ未知の部分が多い分野のようです。mRNA 1 分子に着目する”1分子蛍光イメージング”などにより研究が進んでいる様子です。このmRNAの核外輸送には、タグとなるタンパク質が関与するようです。又、mRNAの長さによるふるい分けが行われているようであるといった事実などが明らかになってきています。
さらに、核-細胞質間における物質輸送の研究は、日本が先進的な研究を行なってきた分野です。Hikeshi という、面白い名前のついた運搬体が発見されているなど、興味深い分野であり、紹介します。 脇道終わり)
RNAポリメラーゼは、 I から III が知られています。
RNAポリメラーゼ I は、rRNAの合成に関与しています。RNAポリメラーゼ II は、DNA→mRNAの合成に関与しています。RNAポリメラーゼ III は、tRNAの合成に関与しています。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 はその通りの記述です。
DNA から mRNA に転写された後に、スプライシングと呼ばれる mRNA の一部の除去が行われたり、キャップ構造やポリ A 付加により完全な mRNA(成熟 mRNA)が完成します。
スプライシングと呼ばれる mRNA の一部の除去によって切り取られる部分をイントロン、残る部分をエキソンと呼びます。よって、成熟 mRNA に含まれるのは、イントロンではなくエキソンです。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 はその通りの記述です。
基本転写因子(GTF:General transcription factor)は、RNA ポリメラーゼのプロモーターヘの結合に必要な因子です。
以上より、正解は 3,5 です。
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