問 題
ほ乳類細胞の細胞膜を介した物質移動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 細胞膜の透過性は分子やイオンの大きさに依存するので、H+は自由に移動できる。
- 酸素分子は、細胞内外の濃度勾配に従って単純拡散により移動する。
- 細胞膜にあるCa2+ポンプ(P型Ca2+-ATPアーゼ)は、細胞外のCa2+を細胞内へ輸送する。
- 多くの細胞において、グルコースは特異的なトランスポーターによって細胞内へ運ばれる。
- エキソサイトーシス(exocytosis)は、トランスポーターでは運べない大きな分子を細胞内に取り込む膜動輸送である。
正解.2, 4
解 説
細胞膜の透過性は、分子やイオンの大きさのみに依存するわけではなく、エネルギーを利用して濃度差を作り上げたりといった、様々な機構を介した選択的透過性です。よって、大きさだけに依存するわけではなく、H+ も自由に移動できるわけではないので選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 はその通りの記述です。
酸素分子はヘモグロビンと結合して、血流に乗って全身へ運ばれ、酸素濃度の差に従って単純拡散により移動します。
Ca2+ − ATP アーゼは、細胞膜や小胞体に存在します。細胞膜の Ca2+ − ATP アーゼは、Ca2+ を細胞外に放出します。よって、選択肢 3 は誤りです。※細胞内の Ca イオン濃度はとても低く保たれていると覚えておくとよいと思います。
選択肢 4 はその通りの記述です。
GLUT(glucose transporter:グルコーストランスポータ)には様々なサブタイプが知られています。例えば小腸粘膜細胞においては、刷子縁膜側に SGLT1(sodium-glucose cotransporter 1)が発現しており、能動輸送を介したグルコース輸送が行われています。
エキソサイトーシスとは、細胞外への分泌形態の一つです。分泌顆粒にとりこまれた物質が、顆粒の排出により細胞外へ運ばれることの名称です。よって、細胞内へ取り込む膜動輸送ではないので、選択肢 5 は誤りです。ちなみに、細胞内へ取り込む膜動輸送は、エンドサイトーシスと呼ばれます。
以上より、正解は 2,4 です。
コメント