問 題
l-メントールに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- l-メントールは不斉炭素原子を4つ持つ。
- AはBのエナンチオマーである。
- BはCのジアステレオマーである。
- CはAの環を反転させたものである。
- l-メントールの最も安定な配座はCである。
解 説
選択肢 1 について、不斉炭素は下図で矢印で示した 3 つの炭素なので 4 つではありません。
よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 についてはまずそれぞれ不斉炭素の立体配座が S か R かを考えます。A の図を少し書き換えると以下のようになります。
それぞれの部分を上図の矢印の向きから見る(Hを奥側にして見る)と、残る 3 つの置換基を優先順位 1 , 2 , 3 の順番で回転させることで、その立体配座がわかります。
つまり、メチル基の付いたところは優先順位の並びが左回り(反時計回り)なので、Sです。
ヒドロキシル基の付いたところも左回り(反時計回り)なので、Sです。
イソプロピル基の付いたところは右回り(時計回り)で、Rです。
一方、B の図でも同じように考えると、メチル基のところが R、ヒドロキシル基も R、イソプロピル基が S とわかります。
以上から、A と B は立体配座がまったく逆になっていますので、エナンチオマーの関係です。
よって、選択肢 2 が正解となります。
選択肢 3 について、B は上述の通り、メチル基のところが R、ヒドロキシル基も R、イソプロピル基が S です。
C についても同じように見ていくと、メチル基のところが R、ヒドロキシル基も R、イソプロピル基が S だとわかります。
つまり、B も C も全く同じ立体であり、同一の構造であることがわかります。これはジアステレオマーではないので選択肢3は誤りです(もちろんエナンチオマーでもありません)。
選択肢4について、環を反転させるというのは
反転させたところで立体配座の S や R は変わりませんので、化合物としての種類が変わるわけではありません。
A と C はともに環が前者の形をしているので、これは反転とはいわず、選択肢4は誤りです。B と C は選択肢3の通り同一の化合物であり、かつ環が反転しているため、選択肢が「CはBの環を反転させたものである。」であれば正解でした。
選択肢 5 について、C は 3 つの置換基がすべてアキシアル位にあります。これは 1 , 3 – ジアキシアル相互作用により立体反発が起こりますので、不安定な配座です。よって、選択肢5は誤りです。
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