問 題
蛍光光度法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 蛍光は、分子が基底状態から励起状態に遷移する際に観測される。
- 光源として、通常、重水素ランプが用いられる。
- 蛍光スペクトルを測定すると、ラマン散乱光が観測されることがある。
- 蛍光量子収率は、蛍光強度をモル吸光係数で除した値である。
- 溶液中の蛍光物質の濃度が十分に希薄であれば、蛍光強度は蛍光物質の濃度に比例する。
正解.3, 5
解 説
蛍光とは、分子が励起状態から基底状態へと移る時、すなわち、エネルギー的に高い状態から低い状態へと移る時に、差分のエネルギーが光として放出される現象です。よって、選択肢 1 は誤りです。
蛍光強度法の光源は、通常キセノンランプが用いられます。光源として、重水素ランプが用いられるのは紫外可視吸光度測定において「紫外線」を光源とする場合です。
ちなみに紫外可視吸光度測定において「可視光線」を光源とする場合にはタングステンランプが使用されます。よって、選択肢 2 は誤りです。
蛍光を入射すると、入射した光とは振動数が異なる光が散乱されることがあります。これはラマン散乱光と呼ばれます。
ラマン散乱光は、振動や回転をしている分子との相互作用の結果として振動数が異なっています。又、物質によりラマン散乱光のパターンが変わります。そのため、非破壊的分析法として、ラマン散乱光は利用されています。よって、選択肢 3 は正解です。
蛍光量子収率とは、光源からの光を試料分子に照射した時に吸収された光子数と、蛍光として放出された光子数の割合のことです。この値が 1 に近いほど、蛍光として発光される効率がよいということになります。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、その通りの記述です。
ちなみに、蛍光物質の濃度が濃くなると、分子間の相互作用などによる影響により、蛍光強度が一般的に減少することが知られています。
以上より、正解は 3,5 です。
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