問 題
69 歳男性。一人暮らし。隣県に息子が住んでおり、休日にこの男性の世話をしている。処方 1 及び 2 の薬剤で治療していたが、物忘れが多くなり、2 ケ月前より処方 3 の薬剤が開始となった。
服薬を忘れることもあり、息子は一人では面倒をみられないと近所の地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行い、今月要支援 2 の認定を受けた。
主治医は、残薬が多く服薬に問題があるため、服薬支援のために薬局薬剤師の在宅訪問を考えた。
この男性、息子、医師、薬剤師、介護支援専門員と相談の結果、薬剤師の月 1 回訪問が決まり、契約を締結し、薬剤管理指導の費用を介護保険で請求することとなった。初回訪問時の処方は以下のとおりである。

問320
薬局薬剤師が薬剤管理指導を請求する保険の算定要件等に関する記述として、適切なのはどれか。2 つ選べ。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料で請求する。
- 管理指導に携わる薬剤師は、5 年以上の実務経験が求められる。
- 保険薬局の指定を受けていれば、この管理指導に関する実施について、あらためて届出をする必要はない。
- 1 ケ月に請求できる訪問回数に制限が設けられている。
- 訪問時に居宅サービスの変更につながる情報を得た場合でも、医師以外の関係者に報告する必要はない。
問321
薬剤師が 2 回目の訪問時に患者宅にあるヘルパーの訪問記録から、薬がきちんと飲めているが、ここ 1 ケ月ほど軟便が続いているという情報を得た。
この患者に合わせた薬剤師の対応として最も適切なのはどれか。1 つ選べ。
- 水分摂取を控えるよう患者と息子に指導した。
- 酸化マグネシウムの減量を主治医に提案した。
- 市販の止瀉薬を購入し、服用するよう患者と息子に指導した。
- ファモチジンの増量を主治医に提案した。
- ガランタミンの増量を主治医に提案した。
問320:3, 4
問321:2
解 説
問320
選択肢 1 ですが
リード文に「薬剤管理指導の費用を介護保険で請求」とあります。在宅患者訪問薬剤管理指導料は保険薬局、保険薬剤師が算定するものです。指導内容は同じですが介護保険利用の場合は「居宅療養管理指導料」などでの請求となります。選択肢 1 は誤りです。
指導内容は同じなのですが「薬局に来れない在宅患者」を訪問する建前だと保険請求となり、「居宅療養している方の管理指導」は介護保険請求となるとおさえておきましょう。
選択肢 2 ですが
実務経験要件はありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3,4 は妥当です。
保険薬局指定を受けていれば、居宅療養管理指導実施に改めての届出は不要です。1 月に請求できる訪問回数は、本試験時点において原則 月 4 回です。
選択肢 5 ですが
居宅介護支援事業所の担当介護支援専門員に速やかに報告する必要があります。「医師以外の関係者に報告する必要はない」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 320 の正解は 3,4 です。
問321
「服薬忘れ改善が見られる」「最近軟便が続いている」という状況です。服薬コンプライアンスが上がったことにより、便秘薬である酸化マグネシウムを少し飲みすぎで軟便傾向ではないかと推測される状況です。
従って
酸化マグネシウム減量が妥当です。
以上より、問 321 の正解は 2 です。

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