問 題
55 歳女性。45 歳時に気管支ぜん息と診断されたことをきっかけに節煙した。しかし、仕事によるストレスで喫煙の回数と飲酒量がここ最近増えている。
3 年前から、ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤を使用していたが、効果不十分のため、半年前からは処方 1 の薬剤を使用している。その他の併用薬と副作用歴はない。

今回もこの患者が処方 1 の処方箋を持って保険薬局に来局した。薬剤師が患者にインタビューしたところ、次の回答を得た。
患者:「きちんと吸入していますが、最近、咳が出て調子が悪いです。特に、花粉の飛散時期は咳が出やすいです。ピークフローメータをあまり使っていなかったので、もう一度、使い方と意義について教えてほしいです。」
問300
処方 1 の薬剤について特に注意すべき副作用はどれか。2 つ選べ。
- 高カリウム血症
- 低血糖
- 間質性肺炎
- 動悸
- 口腔カンジダ症
問301
患者に対する薬剤師の説明内容として適切でないのはどれか。1 つ選べ。
- ピークフローメータは深呼吸をしてから口に加え、毎回同じ姿勢で測定する。
- ピークフロー値は 1 秒量とよく相関し、ぜん息の状態を把握する指標となる。
- ピークフローメータは息がもれないように吹き口を唇で覆い、できるだけすばやく一気に吹く。
- ピークフロー値は一度に少なくとも 3 回測定し、最も低い値を記録する。
- ピークフロー値の日内変動が大きい場合は、気道過敏性が亢進していると考えられる。
問300:4, 5
問301:4
解 説
問300
処方 1 は ステロイド であるフルチカゾン、抗コリン薬 である ウメクリジニウム、β 刺激薬であるビランテロールを配合した吸入薬です。
β 作動薬 → 心臓バクバクしすぎると動悸
ステロイド → 吸入で口腔に残って免疫抑制しすぎると口腔カンジダ症
に注意すべきと考えられます。
以上より、問 300 の正解は 4,5 です。
ちなみにですが
「低」カリウム血症であれば、β 作動薬の副作用として
「高」血糖であれば、ステロイドの副作用として注意すべきです。
問301
ピークフローメーターは、スパイロメーターの簡易版と考えるとよいです。共に呼吸機能検査に用いられます。イメージは以下の通りです。

ピークフロー値は通常一日 2 回朝と夕方、人により一日 3 回測定します。それぞれの時間における値の日中推移 及び 日間変化を評価します。「最も低い値を記録」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
以上より、問 301 の正解は 4 です。
参考 代表的な呼吸機能検査
https://yaku-tik.com/yakugaku/bt-1-2-3/

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