薬剤師国家試験第110回問254-255 過去問解説

　問題　　　　　

56 歳男性。身長 165 cm、体重 63 kg。1 年前に健診で心電図異常が見つかり、循環器内科で精密検査となった。

その結果、頻脈性不整脈と診断され、ジソピラミド (50 mg カプセルを 1 回 1 カプセル、1 日 3 回朝昼夕食後服用) による治療が開始され、継続して服用していた。

2 週間前に動悸や立ちくらみを自覚するようになり、精密検査と治療の見直しのため入院となった。

入院から 4 日目にジソピラミドを 1 日 150 mg から 300 mg に増量したが、症状が改善されなかったことから、ジソピラミドをソタロール (80 mg 錠を 1 回 1 錠、1 日 2 回朝夕食後服用) に変更となった。

ソタロール服用開始から 5 日目に、担当薬剤師が病室を訪れた際に、下図に示す心電図の異常を発見した。

この患者に使用された 2 つの抗不整脈薬に共通する作用機序はどれか。1 つ選べ。

認められた心電図異常はどれか。2 つ選べ。

正解．
問254：3
問255：3, 4

　解説　　　　　

ジソピラミド → クラスⅠa
ソタロール → クラス III 群抗不整脈薬　は基礎知識です。

また、クラス Ia 群の中で、ジソピラミドとシベンゾリンは副作用として、低血糖が知られています。これは、ATP 感受性 K チャネルに作用することで、インスリン分泌が促進されるためです。

これらをふまえると
「共通する作用機序」は K⁺ チャネル遮断です。

以上より、問 254 の正解は 3 です。

大きな立ち上がり間が 30 マス以上、つまり 1.2 秒以上見られます。1 分間に 50 拍未満なので徐脈です。

また、QRS 波に続く T 波が立ち上がるのが遅く、かつブロードになっていることが読み取れます。QT 延長です。

以上より、問 255 の正解は 3,4 です。

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