問 題
保険薬局に勤務している薬剤師が、看護学校の講師を担当することになった。講義では、植物に含まれている麻薬成分が医療用麻薬として使用されていることを紹介することにした。
最近、高度のがん疼痛のある患者が、その初回の服薬を躊躇した事例を経験したことから、その場合の対応や、現場での医療用麻薬の有効な使い方についても講義しようと考えている。
患者が服薬を躊躇した事例の処方薬は、モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルとモルヒネ塩酸塩水和物内用液であった。
問216
講義で伝える内容として、適切なのはどれか。2 つ選べ。
- オピオイドを定期的に鎮痛に必要な量で投与すれば、がん患者の生命予後に影響を与えない。
- がん疼痛管理にオピオイドを使用する場合、精神依存が生じる可能性は低く、オピオイドの使用を控える理由とはならない。
- 服薬を躊躇したこの高度のがん疼痛のある患者に対しては、弱オピオイドを提案する。
- 高度の腎機能障害がある患者に対しては、この事例の処方薬の投与を推奨する。
- がん疼痛の突出痛がある場合、オピオイドの徐放製剤をレスキュー薬として投与する。
問217
また、講義ではモルヒネと同じ植物に含まれる麻薬成分である化合物 X についても紹介し、化合物Xは一般用医薬品の鎮咳薬としても利用され、一部ではその濫用が問題になっていることを述べることにした。
化合物 X の化学構造式と、その基原となる植物写真の組合せとして、正しいのはどれか。1 つ選べ。

- 化学構造式 写真
- A ア
- B ア
- C ア
- A イ
- B イ
- C イ
問216:1, 2
問217:4
解 説
問216
選択肢 1,2 は妥当です。
オピオイドに関する適切な内容です。
選択肢 3 ですが
「高度のがん疼痛」なので、弱オピオイドの提案は不適切と考えられます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
腎機能悪化により、モルヒネの副作用が出て、フェンタニル使用になる症例などを思い出せるとよいです。「高度の腎機能障害がある患者」であれば、この事例の処方薬投与は推奨できません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
速放性製剤のレスキュー投与が、突出痛に対して用いられます。素早く効いて欲しいので「徐放製剤」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 216 の正解は 1,2 です。
問217
モルヒネなど麻薬成分が含まれる植物といえば
「ケシ」です。写真は イ が該当します。
ケシに含まれる麻薬成分で、一般用医薬品の鎮咳薬としても利用されるのは「コデイン」です。コデインの構造式は判別したい知識です。コデインの構造式は A が該当します。ちなみに、構造の左下部分のメチル基が脱メチルすると、モルヒネの構造式です。
以上より、問 217 の正解は 4 です。

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