問 題
薬物の溶解性を高める製剤的手法に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 微粉化により、比表面積を小さくする。
- シクロデキストリンにより、ミセルを形成させる。
- 水と混和する有機溶媒を添加して、溶媒の極性を変化させる。
- 結晶性薬物の場合、非晶質化して熱力学的に安定化させる。
- テオフィリンの場合、エチレンジアミンと複合体を形成させる。
正解.3, 5
解 説
選択肢 1 ですが
比表面積とは、単位質量あたりの表面積、又は、単位体積あたりの表面積です。微粉化すると、質量、総体積は変わらず、表面積が大きくなるため比表面積は「大きく」なります。「微粉化により、・・・小さく」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
シクロデキストリンにより溶解性を高める手法は「包接化」です。包接化により作られる包接体は、ホスト分子が持つ固有の空間や空洞に、ゲスト分子が物理的に閉じ込められた構造です。ミセル形成ではありません。
ミセルとは、両親媒性分子が、親水基を外に、親油基を内側に向けて 集合して作られるコロイド状の粒子です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
溶媒の極性変化による溶解性向上についての記述です。
選択肢 4 ですが
非晶質化は、熱力学的に「不安定化」です。「非晶質化して熱力学的に安定」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
テオフィリンの溶解度を上昇させる目的でエチレンジアミンが添加されます。テオフィリン2分子と、エチレンジアミン1分子の塩がアミノフィリンです。
以上より、正解は 3,5 です。
類題 109 – 181
https://yaku-tik.com/yakugaku/109-181/

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