薬剤師国家試験 第110回 問177 過去問解説

 問 題     

テオフィリン無水物 (分子量 180) の結晶、非晶質、及び両者の混合物について、下図の A ~ C に示す水蒸気吸着等温線が得られた。この結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

ただし、結晶は吸湿せず、非晶質は相対湿度 80 % 以上ですべて水和物に転移するものとする。

  1. A は、100 % の結晶である。
  2. B は、質量比で 40 % の結晶と 60 % の非晶質の混合物である。
  3. C は、質量比で 60 % の結晶と 40 % の非晶質の混合物である。
  4. テオフィリンの無水物は吸湿して二水和物となる。
  5. 相対湿度 50 % で保存した B は、質量比で 1 % の吸着水を含む。

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

粉が三種類あって、それぞれを体重計の上に乗せた状態で小さな部屋に入れ、どんどん蒸し風呂状態にしていきながら体重変化を見た というイメージの問題です。人間なら汗かいて、むしろ体重減るような実験です。


選択肢 1,3 ですが

問題文に「結晶は吸湿しない」とあるため、質量変化がないグラフが結晶です。つまり、C が 100% の結晶です。A ではありません。また、C は「質量比で 60 % の結晶と 40 % の非晶質の混合物」でもありません。選択肢 1,3 は誤りです。


選択肢 2 は妥当です。

相対湿度 80% 以上で全て水和物になるとあるため、 80% 以上の部分に注目します。A と B の質量変化の比率はほぼ 10%:6% = 10 : 6 と読み取れます。この変化は「無水物 → 水和物」への変化に伴う質量変化です。従って、A が 100% 非晶質、B は 60% が 非晶質であるような混合物 とわかります。


選択肢 4 ですが

仮に 二水和物 つまり、テオフィリン・2H2O となるのであれば、分子量が 180 → 216 となるため、相対湿度 80% 以上で全て水和物に転移すると、質量変化が「20%」になると考えられます。質量変化は 10% であるため、一水和物が妥当と考えられます。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は妥当です。

B のグラフの 湿度 50% の所を読み取ると、質量変化が 大体 1% です。


以上より、正解は 2,5 です。

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