薬剤師国家試験 第110回 問169 過去問解説

 問 題     

メトプロロールは、肝臓における代謝及び尿中への排泄の両過程により体内から消失する。全身クリアランスは 1.0 L/minであり、静脈内投与後の尿中未変化体排泄率は投与量の 10 % である。

メトプロロールを経口投与した際、肝初回通過効果により消失する割合 (%) に最も近い値はどれか。1 つ選べ。

ただし、メトプロロールの消化管からの吸収は 100 % であり、消化管における代謝はなく、肝血流量は 1.5 L/min とする。

  1. 20
  2. 30
  3. 40
  4. 50
  5. 60

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

CLtot:全身 CL、CLh:肝 CL、CLr:腎CLです。
tot は total、h は hepa、r は renal の略です。


【CLtot、CLh、CLr の計算】
問題文より、CLtot = 1.0 L/min です。
CLtot = CLh + CLr ・・・(1) です。これは基礎知識です。

「静脈投与して未変化体排出が 投与量の 10%」が
「CLr が CLtot の 10%」と読み替えられます。
∴ CLr = 1.0 × 0.1 = 0.1 L/min です。

(1) より
1.0 - 0.1 = 0.9 L/min が CLh です。


【肝初回通過効果の計算】
肝抽出率 (Eh) = CLh/Qh です。これも基礎知識です。
肝抽出率は、言い換えれば肝初回通過効果により消失する割合です。

Qh = 1.5 L/min は問題文ただし書きから与えられています。
CLh は、先程求めた 0.9 L/min です。

従って
Eh = 0.9/1.5 = 0.6 です。% で表せば 60% となります。


以上より、正解は 5 です。

類題 100-170
https://yaku-tik.com/yakugaku/100-170/

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