薬剤師国家試験 第110回 問139 過去問解説

 問 題     

環境汚染 (大気汚染、水質汚濁、土壌汚染等) を防止するための法規制に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 大気汚染防止法では、自動車などの移動発生源から排出されるばい煙や揮発性有機化合物及び粉じんについて排出基準が定められている。
  2. 水質汚濁防止法では、健康に係る有害物質及び生活環境に係る汚染状態について排水基準が定められている。
  3. 都道府県は、国が定めた一般排出基準あるいは一律排水基準よりも厳しい「上乗せ排出基準」あるいは「上乗せ排水基準」を定めることができる。
  4. 土壌汚染対策法では、すべての特定有害物質について「土壌含有基準」が定められている。
  5. ダイオキシン類対策特別措置法では、大気、水質、土壌及び農作物を対象に環境基準が定められている。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
ばい煙等について、発生施設ごとに国が定める一般排出基準が設定されています。発生施設は具体的には工場などです。「自動車などの移動発生源から排出される」ものについて基準が設定されているわけではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は妥当です。

水質汚濁防止法についての記述です。


選択肢 3 は妥当です。

法令よりも厳しい規制を定める条例を定めることができます。


選択肢 4 ですが

「すべての」ではないのではないかと判断すればよいです。選択肢 4 は誤りです。

ちなみにですが
「特定有害物質」は、鉛、砒素、トリクロロエチレンなどです。本試験時点で 26 物質が指定されています。土壌含有量基準と土壌溶出量基準があり、土壌溶出量基準は 指定された 26 物質全てについて定められています。


選択肢 5 ですが

ダイオキシン類対策特別措置法において、農作物には基準が定められていません。理由は、農作物による人体へのダイオキシン類取り込み量が非常に少なく、通常の食生活において健康への影響が問題ない水準にある などがあげられます。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。

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