問 題
マクロファージをリポ多糖で刺激して得た培養液を採取し、この培養液中のサイトカイン X の濃度をサンドイッチ ELISA (Enzyme – linked immunosorbent assay) 法で定量することにした。
各試料をマイクロプレートに採取し反応を行った後、450 nm の吸光度を測定した。サイトカイン X の標準物質を用いて標準曲線 (検量線) を作成したところ、下図のようになった。
この測定に関する記述として適切なのはどれか。2 つ選べ。

- この培養液の測定値が吸光度 1.5 であった場合、培養液を希釈して再測定することが必要である。
- 10 倍希釈した培養液の測定値が吸光度 0.6 である場合、もとの培養液中のサイトカイン X 濃度は約 600 pg/mL である。
- 培養液に含まれる別のサイトカイン Y を測定するためには、サイトカイン X の測定とすべて同じ抗体を利用できる。
- サンドイッチ ELISA 法では抗原に対する 2 種類の抗体が使われるが、それぞれの抗体が認識するエピトープは異なる。
- この培養液の測定で発色が検出限界以下だった場合、標準曲線 (検量線) の測定の場合よりも反応時間を長めにしてもよい。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
検量線を引いている範囲 (吸光度 0 ~ 0.95 程度まで) をかなり超えているため、単純に吸光度とサイトカイン X の濃度が比例関係にあるかわかりません。そのため、培養液を例えば 3 倍や 5 倍に希釈して再測定することが必要と考えられます。
選択肢 2 ですが
「10 倍希釈した培養液の測定値が吸光度 0.6 → 検量線から 濃度が 600 pg/mL」だったのであれば、もとの培養液中の濃度はその 10 倍です。つまり、6000 pg/mL です。「もとの…サイトカイン X 濃度は 約 600 pg/mL」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
抗原抗体反応なので、X の測定で用いる抗体は X にのみ反応します。別のサイトカイン Y を測定するためには、Y に対応した別の抗体が必要です。「サイトカインXの測定とすべて同じ抗体を利用できる」という記述は不適切です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
サンドイッチ法なので、2 種類の抗体は 別の場所を認識する抗体です。
選択肢 5 ですが
検量線を作成する際と、未知試料を測定する際は、すべての反応条件を完全に一致させる必要があります。「反応時間を長めにしてもよい」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。

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