薬剤師国家試験 第110回 問114 過去問解説

 問 題     

ヒトにおける脂肪酸の生合成に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. ミトコンドリアで行われる。
  2. アシル鎖の伸長過程で、補酵素として NADH が利用される。
  3. クエン酸により促進される。
  4. アセチル CoA を前駆物質としてリノール酸が合成される。
  5. アセチル CoA をマロニル CoA に転換する反応が律速段階である。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
ミトコンドリアで行われるのは、脂肪酸の分解 (β 酸化反応) です。脂肪酸の生合成においてミトコンドリアは関与していますが「生合成が行われる場所」は「細胞質」や「小胞体」が妥当と考えられます。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが

脂肪酸の生合成において補酵素として利用されるのは「NADPH」です。「NADH」ではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は妥当です。

クエン酸は、アセチル CoA カルボキシラーゼ (ACC) をアロステリックに活性化します。この選択肢の正誤は後回しにして、他の選択肢から消去法で考えるとよいです。


選択肢 4 ですが

リノール酸は代表的な必須脂肪酸です。必須脂肪酸とは、体内で合成できないため食事から摂取する必要がある脂肪酸です。従って、リノール酸は生合成できません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は妥当です。

脂肪酸の生合成における律速段階は、アセチル CoA → マロニル CoA の部分です。


以上より、正解は 3,5 です。

参考 脂肪酸の生合成経路
https://yaku-tik.com/yakugaku/sk-4-1-3/

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