薬剤師国家試験 第110回 問109 過去問解説

 問 題     

下図はアコニチンの構造を示している。これを主要成分として含有する生薬 A に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. アコニチンの骨格は、酢酸-マロン酸経路により生合成される。
  2. アコニチンの窒素原子は、アミノ酸由来ではない。
  3. 高圧蒸気処理などの修治によってアコニチンのエステルが加水分解されて、毒性が低減する。
  4. 生薬 A はナス科植物の根を基原とする。
  5. 生薬 A を含む処方は、体力が充実している患者に適応される。

 

 

 

 

 

正解.2, 3

 解 説     

選択肢 1 ですが
酢酸-マロン酸経路由来の C=O や C = C – OH が連なる部分が見られません。選択肢 1 は誤りと考えられます。

参考:酢酸ーマロン酸経路由来の化合物例 構造

選択肢 2 は妥当です。
ちなみにですが、アミノ酸由来の窒素原子を含む構造として代表的なものは、インドール環やキノリンです。

選択肢 3 は妥当です。
修治は、高圧蒸気で処理したりすることで毒性を減弱させることです。エステルの加水分解が主に引き起こされます。

選択肢 4 ですが
アコニチンは、トリカブトの塊根 から抽出されるアルカロイドの一種です。主要成分として含有する生薬は 附子 (ぶし) です。そして、トリカブトはキンポウゲ科です。「ナス科」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
附子を含む処方は、体力が低下した虚弱体質の人や冷え性の人に使われる生薬です。「体力が充実している患者に」ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。

類題 103-214215
https://yaku-tik.com/yakugaku/103-214/

コメント