薬剤師国家試験 第110回 問106 過去問解説

　問 題　　　　　

下図に示すブレオマイシン A₂ は DNA 鎖を切断することができる。このために必要な化学的性質として、最も適切なのはどれか。1 つ選べ。

1. 部分構造 ア における Fe(Ⅱ) との配位能
2. 部分構造 イ における Mg(Ⅱ) との配位能
3. 部分構造 ウ における Mg(Ⅱ) との配位能
4. 部分構造 エ における光増感作用
5. 部分構造 オ における Fe(Ⅱ) との配位能

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

ブレオマイシンは、抗腫瘍抗生物質です。金属イオンを補因子としてキレートし、分子状酸素を活性化することでフリーラジカルを作って DNA を損傷すると考えられています。これは基礎知識です。

本問は部分構造から、金属とキレートしそうな部分を見つけなさいという問題といえます。キレートするものとして代表的なものは EDTA がまず浮かぶのではないでしょうか。すると部分構造 ア が いくつもアミンがニョキニョキしており、この部分がうまく金属原子と配位するのではないか、と推測できます。

参考 EDTA の構造式

以上より、正解は 1 です。