問 題
スピン量子数が 1/2 である原子核が外部磁場の中に置かれると、そのエネルギーが 2 つのエネルギー準位に分かれることを表しているのはどれか。1 つ選べ。
- 化学シフト
- McLafferty (マクラファティー) 転位
- ラジカル開裂
- 超微細分裂
- ゼーマン分裂
解 説
【量子のスピン量子数について】
量子は、原子より小さい「電子、陽子、中性子」などです。量子の性質を表すのが量子数です。量子数の 1 つであるスピン量子数は「量子の持つ固有の角運動量の大きさ」を表します。
量子の種類によって 1/2のような「半整数」のスピン量子数をとる量子と、1 のような 整数のスピン量子数をとる量子があります。 1/2 のスピン量子数をとる代表的量子は 電子、陽子、中性子です。
【スピン量子数 1/2 である原子核について】
スピン量子数が 1/2 であるような「原子核」の代表例は 1H です。1H の原子核は陽子 1 個のみです。中性子はありません。そのため、原子核のスピン量子数 = 陽子 1 個のスピン量子数なので、1/2 となります。
【ゼーマン分裂について】
金属ナトリウムを燃やすと、熱エネルギーを得て 電子が高エネルギー状態に励起した後に元の基底エネルギー状態に戻る際、黄色い光を放出します。この光をスペクトル分光器で分光すると、磁場なしでは ほぼ 1 本※1 のスペクトル線 になり、磁場ありの場合、数本のスペクトル線に見えました。
スペクトル線が表すのは エネルギー準位です。従って、外部から磁場をかけることで エネルギー準位が 分裂することが分かりました。「磁場をかけることで、エネルギー準位が分裂する現象」がゼーマン分裂です。
※1:よく見ると 2 重線であり、D 線 と呼ばれます D は double の略です。
スピン量子数が 1/2 である原子核が 外部磁場中で 2 つのエネルギー準位に分かれることを表しているのは「ゼーマン分裂」です。
以上より、正解は 5 です。
参考 電子スピン共鳴スペクトル測定法
https://yaku-tik.com/yakugaku/bs-4-1-4/
参考 核磁気共鳴スペクトル測定法の原理
https://yaku-tik.com/yakugaku/bs-4-2-1/

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