問 題
79 歳男性。体重 50 kg。うっ血性心不全にて通院治療中である。全身倦怠感と呼吸困難を訴えているため、救急搬送された。血液検査を行ったところ、血清ナトリウム濃度が 120 mEq/L であった。
意識障害と嘔吐症状があることから、塩化ナトリウムを静注することになった。
塩化ナトリウム注射液は、3 %の高張液とし、輸液ポンプを用いて、30 mL/h の投与速度で開始し、2 時間ごとに血清ナトリウム濃度を測定し、その濃度に応じて投与量を適宜調節した。
3 % 塩化ナトリウム注射液の調製方法について、最も適切なのはどれか。1 つ選べ。なお、注射製剤の過量充てん分は考慮しないものとする。
- 生理食塩液 500 mL に、塩化ナトリウム注射液 10 % (1 管、20 mL) を 3 管注入し均等混和
- 生理食塩液 300 mL (500 mL ボトルから注射器で、200 mL捨てる) に、塩化ナトリウム注射液10 % (1 管、20 mL) を 10 管注入し均等混和
- 生理食塩液 420 mL (500 mL ボトルから注射器で、80 mL捨てる) に、塩化ナトリウム注射液10 % (1 管、20 mL) を 4 管注入し均等混和
- 生理食塩液 400 mL (500 mL ボトルから注射器で、100 mL 捨てる) に、塩化ナトリウム注射液10 % (1 管、20 mL) を 6 管注入し均等混和
- 生理食塩液 340 mL (500 mLボトルから注射器で、160 mL 捨てる) に、塩化ナトリウム注射液10 % (1 管、20 mL) を 8 管注入し均等混和
解 説
3 % 塩化ナトリウム注射液を作るために、生理食塩水 (0.9% 食塩水) に 10% 塩化ナトリウム注射液を加えています。※生理食塩水が 0.9% 食塩水であることは基礎知識です。
3% 塩化ナトリウム注射液であれば
1L = 1000mL 中に 塩化ナトリウムは 30g 含まれます。
選択肢 1 が正解と仮定します。
500mL の生理食塩水には 4.5g の食塩が含まれます。10% 塩化ナトリウム注射液を 60mL 加えると、全体の容積は 500 + 60 = 560 mL、含まれる食塩量は 4.5 + 6 = 10.5 g です。1000 mL 中には 20g ぐらいしか塩化ナトリウムが含まれません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 が正解と仮定します。
300mL 生理食塩水には 2.7g 食塩入りです。10% 塩化ナトリウム注射液 200 mL 加えると、全体の容積は 500 mL です。含まれる食塩量は 2.7 + 20 = 22.7g です。1000 mL 中に 45.4g 含まれるため、濃いです。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 が正解と仮定します。
420mL 生理食塩水に、3.78g 食塩入りです。10% 塩化ナトリウム注射液 80 mL 加えると、全体の容積は 500 mL です。含まれる食塩量は 3.78 + 8 = 11.78g です。1000 mL 中に 23.56g で少し足りません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 が正解と仮定します。
400mL 生理食塩水に 3.6g 食塩入りです。10% 塩化ナトリウム注射液 120 mL 加えると、全体の容積は 520 mL です。含まれる食塩量は 3.6 + 12 = 15.6 g です。15.6 の 2 倍弱が丁度 30g なので、妥当です。
選択肢 5 が正解と仮定します。
340mL 生理食塩水に 3.06g 食塩入りです。10% 塩化ナトリウム注射液 160 mL 加えると、全体の容積は 500 mL です。含まれる食塩量は 3.06 + 16 = 19.06g です。1000 mL 中に 38.12g となり、濃いです。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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