問 題
72 歳男性。体重 60 kg。10 年前に大学病院の腎臓内科にてネフローゼ症候群と診断されプレドニゾロン錠とフロセミド錠による治療が開始された。昨年ステロイド抵抗性との診断を受けてシクロスポリンカプセルが追加され、治療中である。
某年 8 月 9 日に近隣の皮膚科を受診したところ、爪白癬との診断を受け、イトラコナゾールの投与を推奨された。同日、大学病院の腎臓内科よりイトラコナゾールカプセルの処方が追加され、最終的に処方 1 ~ 4 のように調整された。
9 月 6 日の診察にて経過良好とのことから、治療は同じ処方で継続された。
本日 9 月 13 日、昨夕より四肢のむくみと尿の泡立ちがひどくなったと自覚したため、かかりつけ薬局へ相談に訪れた。対応した薬剤師は患者からの聞き取りに加え、9 月 6 日の検査値を確認した。
(聞き取り内容)
- 処方 1 のお薬は以前と変わらず飲んでいる。
- 処方 2 のお薬は全て残っている。
- 処方 3 のお薬は残っていない。
- 処方 4 のお薬は全て残っている。
今回の患者の主訴である四肢のむくみと尿の泡立ちについて、腎臓内科医に提案する内容として適切なのはどれか。2 つ選べ。
- シクロスポリンの血中濃度測定
- イトラコナゾールの血中濃度測定
- 処方 1 の中止
- 処方 2 及び処方 4 の開始
- 処方 4 の開始
解 説
処方 2 のイトラコナゾールが CYP 3A4 代謝阻害し、シクロスポリン併用時にシクロスポリンの血中濃度を高めるため、それを考慮して処方 3 ではシクロスポリンの用量が少なく設定されていました。
ところが、聞き取り内容から処方 2 を飲んでいなかったということなので、9/7 以降、シクロスポリンの血中濃度が低い状態が続いていたと考えられます。その結果、腎機能が悪化したことを反映して、昨夕から四肢のむくみと尿の泡立ちがひどくなっていると推測されます。
とはいえ、全く違う理由もありえるので、シクロスポリンの血中濃度測定を行うべきです。また、ネフローゼ症候群の治療を中断してはいけないので、処方 4 の開始を提案するのが適切です。
以上より、問 329 の正解は 1,5 です。
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