薬剤師国家試験 第109回 問322-323 過去問解説

 問 題     

地域薬剤師会からある薬局に地域ケア会議への参加依頼があった。薬局に勤務する薬剤師の中で適任者を検討した結果、薬局勤務 3 年目の薬剤師 A が選出された。

薬剤師 A は地域ケア会議に参加するのは初めてだが、在宅患者も担当しており、スキルアップのために管理薬剤師 B と共に参加してもらうことにした。

問322

薬剤師 A は地域ケア会議へ出席するにあたり、地域ケア会議の特徴や参加時の対応について管理薬剤師 B に相談した。管理薬剤師 B の助言の内容として適切なのはどれか。2 つ選べ。

  1. 地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時に進めています。
  2. 地域ケア会議は、薬剤師の場合、2 年以上の実務経験が参加条件となっています。
  3. 地域ケア会議は、医療又は福祉の資格を有することが参加条件となります。
  4. 地域ケア会議において、参加者に自分の意見を伝える際、専門用語をなるべく多く用いて説明するよう心がけてください。
  5. 個別ケースの課題などを積み重ね、自治体の政策形成につなげることも地域ケア会議の機能の一つです。

問323

薬剤師Aは本会議に参加し、本会議を主催した地域包括支援センターの活動に触れ、地域住民にとって重要な施設であると感じた。

そこで、薬局来局者に地域包括支援センターの役割を伝える情報提供資料を作成した。資料の記載内容として、適切なのはどれか。2 つ選べ。

  1. 都道府県ごとに 1 施設の設置が義務付けられています。
  2. 常駐している医師に健康に関して相談することができます。
  3. 当該センターの職員が自宅を訪問し介護サービスを行います。
  4. 高齢者虐待について相談することができます。
  5. 成年後見制度について相談することができます。

 

 

 

 

 

正解.
問322:1, 5
問323:4, 5

 解 説     

問322

地域における「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」の 5 つのサービスを、一体的に提供できるケア体制を構築しようというのが地域包括ケアシステムです。ここでいう「地域」とは日常生活圏域を指します。おおむね 30 分以内に駆けつけられる場所を想定しています。「地域包括支援センター」が地域住民の介護や医療に関する相談窓口としての役割を担います。


地域ケア会議は、地域包括ケアシステムを実現するための手法の 1 つとして行われる会議です。「地域ケア会議」は、地域包括支援センターまたは市町村が主催します。参加するのは、行政職員や、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護事業者、医療関係者、民生委員などです。参加者は会議の目的に応じて選定されます。


選択肢 1 は妥当です。

地域ケア会議についての記述です。

選択肢 2,3 ですが
特に資格要件はなく、会議の目的に応じて参加者が選定されます。選択肢 2,3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
多職種が参加することが想定されるため、専門用語を「できるだけ避けてわかりやすく」説明するよう心がけるべきです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
地域ケア会議の機能についての記述です。


以上より、問 322 の正解は 1,5 です。

問323

選択肢 1 ですが
地域包括支援センターは市町村が設置します。「都道府県ごとに 1 施設」の設置義務ではありません。また、複数設置されている市町村も多く存在します。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
医師は常駐していません。「社会福祉士」「保健師」「主任ケアマネジャー」が常駐しています。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
地域包括支援センターの職員が 訪問介護サービスを行うわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4,5 は妥当です。
高齢者虐待や成年後見制度について相談できます。


以上より、問 323 の正解は 4,5 です。

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