問 題
80 歳男性。脊柱管狭窄症があり、自宅療養中。骨粗しょう症があり、定期的にイバンドロン酸ナトリウム水和物の注射を受けていたが、腰痛がひどく、新たに処方 1 の薬剤が追加され使用している。
この男性は、娘が介護を行うにあたり近々娘の家で同居することとなり、娘から近隣の薬局に処方 1 の薬剤の取扱いがあるか問合せがあった。
現在、当該薬局では処方 1 の取扱いはなかったが、男性が引っ越してくるまでに時間があるため、処方 1 の製造販売業者が提供するシステムへの調剤施設の登録などの手続きを行い、調剤できる準備を整えることになった。
問312
麻薬及び向精神薬取締法に基づく処方1に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 調剤するには、薬局の許可のほかに麻薬小売業者の許可を要する。
- 処方箋に、麻薬施用者の免許証の番号が記載されているか確認しなければならない。
- 堅固な設備内に施錠して保管しなければならない。
- 廃棄する際、法令に基づく許可や届出の必要はない。
- 規定の数量以上の紛失等の事故が発生した場合、「向精神薬事故届」を届け出なければならない。
問313
引越し後、処方 1 を当該薬局において調剤した際、患者の娘から使い方の説明を求められた。薬剤師が行う説明として適切なのはどれか。2 つ選べ。
- 腰の痛い場所に貼ってください。
- 皮膚に傷のあるところには貼付しないでください。
- 半分に切って使用しないでください。
- 使用済のお薬は、接着面を表にして処分してください。
- このお薬がよく効くように、貼った部位を電気毛布等でよく温めてください。
正解.
問312:4, 5
問313:2, 3
解 説
問312
ブプレノルフィンは、第 2 種向精神薬です。麻薬及び向精神薬取締法により規制される向精神薬です。
選択肢 1,2 ですが
ブプレノルフィンは麻薬ではありません。そのため、麻薬小売業者の許可は不要です。また、処方箋における麻薬施用者免許証番号の記載も不要です。選択肢 1,2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
「堅固な設備内に施錠して保管」するのは麻薬です。ブプレノルフィンは麻薬ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4,5 は妥当です。
廃棄や事故の際についての記述です。
以上より、問 312 の正解は 4,5 です。
問313
選択肢 1 ですが
ブプレノルフィン経皮吸収型製剤 (ノルスパンテープ) を見たことがなかったら選びそうな選択肢です。本製剤は 通常、成人に対し、前胸部、上背部、上腕外部又は側胸部に貼付し、7 日毎に貼り替えて使用します。「腰の痛い場所に貼」るわけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
有効成分を吸収しすぎるおそれがあります。
選択肢 3 は妥当です。
ちなみにですが、有効成分ニトログリセリンであるミニトロテープは、ハサミで切断可能です。ミニトロテープ以外のテープは、仮に添付文書に記載がなくても 原則切断しない方がよいと考えられます。
選択肢 4 ですが
使用後捨てる時は、粘着面を内側にしてふたつ折りにたたんで廃棄します。「接着面を表にして処分」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
貼った所を温めると、薬が必要以上に吸収されるおそれがあるので、避けるよう説明します。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 313 の正解は 2,3 です。
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