問 題
42 歳女性。半年前に両側手指関節及び両側膝関節の痛みを自覚し病院を受診した。
検査の結果、関節リウマチと診断され、処方 1 による治療を受けていた。症状のコントロールが不十分だったためメトトレキサートが漸増されたが、多発性関節炎は持続した。
最近では仕事にも支障をきたすようになったため、治療方針が変更されることになった。この患者は小児期に水痘に罹患した既往がある。
問288
この患者に追加する治療薬として、適切なのはどれか。2 つ選べ。
- エリスロマイシン
- トファシチニブ
- 免疫グロブリン製剤
- コルヒチン
- アダリムマブ
問289
治療方針が変更されて 2 週間後、患者が来院し、診察前の薬剤師との面談で「左腰部から背部に沿ってかゆみがあって、昨日から痛み出した」と訴えた。
薬剤師は、患者情報を収集して副作用を疑い、医師へ情報提供を行った。医師は診察後バラシクロビルを処方した。
薬剤師が副作用を疑うきっかけになった患者情報はどれか。2 つ選べ。
- メトトレキサートの服用状況
- 追加した治療薬の処方内容
- 年齢と性別
- 水痘ワクチンの接種歴
- 肝機能、腎機能
正解.
問288:2, 5
問289:1, 2
解 説
問288
関節リウマチをメトトレキサートで治療開始したが、効果不十分の女性です。生物学的製剤の追加が適切です。
選択肢 1 ですが
エリスロマイシンはマクロライド系抗生物質です。リウマチ治療目的の追加薬として不適切です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
トファシチニブは、ヤヌスキナーゼ (JAK) を阻害して、IL – 2 受容体の活性化を介した作用を抑制します。抗リウマチ薬などとして用いられます。
選択肢 3 ですが
免疫グロブリン製剤は感染症などに用いられます。リウマチ治療目的の追加薬として不適切です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
コルヒチンは痛風治療薬です。リウマチ治療目的の追加薬として不適切です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
アダリムマブは、ヒト型抗ヒトTNF-α モノクローナル抗体です。抗リウマチ薬などとして用いられます。
以上より、問 288 の正解は 2,5 です。
問289
水痘感染歴があり、治療薬として生物学的製剤が追加されて間もないことから、免疫抑制に伴い体内に潜んでいたウイルスが再活性化して帯状疱疹となったと考えられます。
副作用を疑うきっかけは、免疫抑制剤の 1 つであるメトトレキサートを服用している という状況、及び 追加した治療薬の処方内容 と考えられます。
以上より、問 289 の正解は 1,2 です。
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