問 題
3 歳 5 ケ月女児。台所で沸かしていたやかんのお湯をかぶり、体表の熱傷 (Ⅱ度) で救急搬送された。入院 14 日目に 39 ℃ の発熱を認め、熱傷創部からセフェム系抗菌薬に感受性のある [ A ] が同定されたため、セフタジジムを 2 週間投与し、症状が改善したため終了した。
抗菌薬終了 7 日後に、再び 38 ℃ の発熱及び熱傷創部に膿を認めた。膿を検査したところ、[ A ] が同定された。検出された [ A ] の薬剤感受性試験及び患者の血液検査の結果は、以下のとおりである。
なお、この患者はアモキシシリン水和物に対するアレルギー歴がある。
問224
[ A ] に該当する細菌に関しては、培養検査等により以下の情報が得られている。[ A ] はどれか。1 つ選べ。
「好気条件で増殖する。グラム陰性菌である。鞭毛を有する。芽胞は形成しない。色素ピオシアニンを産生する。バイオフィルムを形成する。」
- リステリア菌
- 緑膿菌
- 淋菌
- 黄色ブドウ球菌
- 破傷風菌
問225
この患者の検査結果を受けて、医師と感染制御チーム (ICT) の薬剤師が協議した。薬剤師が医師に提案する抗菌薬として、適切なのはどれか。2 つ選べ。
- シプロフロキサシン
- メロペネム
- アミカシン
- セフタジジム
- タゾバクタム・ピペラシリン
正解.
問224:2
問225:2, 3
解 説
問224
選択肢の中で「好気性」かつ 「グラム陰性」は緑膿菌と淋菌です。正解は 2 or 3 です。淋菌は鞭毛を持たない、もしくは バイオフィルム形成といえば緑膿菌より、A は「緑膿菌」と判断できます。
以上より、問 224 の正解は 2 です。
問225
選択肢 1 ですが
シプロフロキサシンは、幼若イヌや幼若ラットに使用した際の関節毒性が知られています。そのため、炭疽などの限られた用途以外で小児に使用してはいけません。選択肢 1 は不適切です。
選択肢 2,3 は妥当です。
選択肢 4 ですが
薬剤感受性試験の結果から耐性が見られます。選択肢 4 は不適切です。
選択肢 5 ですが
βーラクタム系抗生物質であるアモキシシリンに対するアレルギー歴があることから、βーラクタム系の一種であるペニシリン系のピペラシリンを用いるのは不適切と考えられます。選択肢 5 は不適切です。
以上より、問 225 の正解は 2,3 です。
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