薬剤師国家試験 第109回 問181 過去問解説

 問 題     

薬物の溶解性の改善に用いる添加剤とその溶解性改善の機構との組合せのうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  •       添加剤          溶解性改善の機構
  1. ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60    可溶性塩の形成
  2. ヒドロキシプロピルメチルセルロース  固体分散体形成
  3. ポリビニルピロリドン         自己乳化
  4. エチレンジアミン           ミセル内取り込み
  5. エタノール              コソルベンシー

 

 

 

 

 

正解.2, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は界面活性剤の一種です。「可溶性塩を形成」するわけではありません。選択肢 4 の溶解性改善の機構「ミセル内取り込み」と対応していると思われます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
固体分散体とは、担体高分子に薬物が分散された粉体です。

選択肢 3 ですが
ボビドンが、ポリビニルピロリドンの略称です。ポリビニルピロリドンは、非イオン性の水溶性ポリマーです。自己乳化といえばネオーラルで、添加されるのは界面活性剤です。ポリビニルピロリドンは界面活性剤ではないため、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
テオフィリンの溶解度を上昇させる目的でエチレンジアミンが添加されます。テオフィリン2分子と、エチレンジアミン1分子の塩がアミノフィリンです。選択肢 1 の溶解性改善の機構「可溶性塩」と対応していると考えられます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
コソルベンシーとは、2種類の溶媒を混合することで、溶質の溶解度が増加する現象です。水に溶けにくいジゴキシンを溶かすため、エタノールを加えるといった例があります。


以上より、正解は 2,5 です。

参考 溶解平衡
https://yaku-tik.com/yakugaku/bk-3-1-4/

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