薬剤師国家試験 第109回 問170 過去問解説

　問 題　　　　　

下図はイトラコナゾールカプセル 200 mg を健常人男性 (21 ～ 28歳) 12 名に経口投与した際の血中濃度 (平均値) の時間推移を示す。イトラコナゾールの最高血中濃度はファモチジンとともに服用した場合、53 % に減少した。

イトラコナゾールの吸収過程におけるファモチジンとの相互作用及びその回避法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. イトラコナゾールがファモチジンと難溶性のキレートを形成するため、吸収が低下する。
2. ファモチジンが P – 糖タンパク質によるイトラコナゾールの分泌を阻害するため、吸収が低下する。
3. ファモチジンの作用により胃内 pH が上昇し、イトラコナゾールの溶解性が低下するため、吸収が低下する。
4. ファモチジンの代替薬としてオメプラゾールを検討する。
5. イトラコナゾール製剤として経口液剤を検討する。

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

ファモチジンによる胃酸抑制 → イトラコナゾール溶解性低下 → 吸収低下という相互作用です。回避法としては、始めから溶けているか、いきなり全身循環に入ればいいので、経口液剤 や静注 が検討されます。

選択肢 1,2 ですが
胃内 pH 上昇 → 溶解性低下 → 吸収低下が妥当です。選択肢 1,2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
ファモチジン → オメプラゾールでは 胃内 pH 上昇が避けられず、意味がないと考えられます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。

以上より、問 170 の正解は 3,5 です。

類題 103-171 経口投与時の相互作用
https://yaku-tik.com/yakugaku/103-171/