問 題
胃・十二指腸潰瘍の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- スクラルファートは、胃潰瘍部位に結合することで、ペプシンによる自己消化から粘膜組織を保護する。
- ラニチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミン H2 受容体を遮断することで、プロトンポンプの活性化を抑制する。
- ランソプラゾールは、K+ に競合してプロトンポンプを阻害することで、胃酸分泌を抑制する。
- ミソプロストールは、プロスタグランジン合成酵素を活性化することで、胃粘膜のプロスタグランジンを増加させる。
- オキセサゼインは、ガストリン受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制する。
正解.1, 2
解 説
選択肢 1 は妥当です。
スクラルファートについての記述です。
選択肢 2 は妥当です。
ラニチジンについての記述です。
選択肢 3 ですが
ランソプラゾールは、プロトンポンプインヒビター(PPI) です。PPI は、酸性条件下で不可逆的に 「H+,K+– ATPase」を阻害します。阻害は非競合的です。「K+ に競合して」ではありません。ちなみにですが、K+ 競合型 PPI はボノプラザンです。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
ミソプロストールは PG (prostaglandin) 製剤です。PGE1 誘導体です。「合成酵素を活性化することで、…プロスタグランジンを増加」ではありません。プロスタグランジンをケーキに例えるならば、ミソプロストールは「ケーキを作る工場を増やすような薬」ではなく「ケーキの一種」です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
オキセサゼインは胃液内の強酸中でも作用する、胃粘膜局所麻酔薬です。「局所麻酔薬」なので、電位依存性 Na+ チャネルを遮断することで作用します。ガストリン受容体遮断ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,2 です。
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