薬剤師国家試験 第109回 問153 過去問解説

 問 題     

痛みを伴う疾患に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. タペンタドールは、下行性疼痛抑制系の神経終末でのセロトニン再取り込みを選択的に阻害して、痛覚情報伝達を抑制する。
  2. プレガバリンは、求心性一次知覚神経の電位依存性 Ca2チャネルを構成する α1 サブユニットに結合して、神経伝達物質の遊離を抑制する。
  3. レバロルファンは、オピオイド μ 受容体を刺激して、モルヒネの鎮痛効果を増強する。
  4. エレヌマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド (CGRP) 受容体に結合して CGRP の作用を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制する。
  5. チザニジンは、アドレナリン α2 受容体を刺激して、筋緊張を伴う疼痛を緩和する。

 

 

 

 

 

正解.4, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
タペンタドールは、オピオイド鎮痛薬です。μ 受容体作動 及び ノルアドレナリン再取り込み阻害を介して鎮痛作用を示します。「セロトニン再取り込みを選択的に阻害」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
プレガバリン(リリカ)は、Ca チャネル α2σ リガンド に分類される GABA 誘導体です。結合するのは α2σ サブユニットです。「α1」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
レバロルファンは麻薬「拮抗剤」です。従って、モルヒネの鎮痛効果を「増強」するわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
エレヌマブ (アイモビーグ) は、ヒト抗 CGRP 受容体 モノクローナル抗体製剤です。カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体に結合し、CGRP の作用を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制します。

選択肢 5 は妥当です。
チザニジン (テルネリン) は、中枢性 α2 受容体刺激作用を有する 中枢性筋弛緩薬 です。


以上より、正解は 4,5 です。

類題 102-156
https://yaku-tik.com/yakugaku/102-156/

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