問 題
末梢性筋弛緩薬に関連した記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- スキサメトニウムは、アセチルコリン NM 受容体に作用して、運動神経終末を持続的に脱分極させる。
- スガマデクスは、ロクロニウムによる筋弛緩を回復させる。
- ベクロニウムの筋弛緩作用は、ネオスチグミンを併用することで増強される。
- ダントロレンは、骨格筋のリアノジン受容体に作用して、筋小胞体からの Ca2+ 遊離を抑制する。
- A 型ボツリヌス毒素は、電位依存性 Na+ チャネルを遮断して、運動神経の興奮伝導を抑制する。
解 説
選択肢 1 ですが
正しいととびつきたくなる選択肢が、最後まで気を付けて読みましょう、という選択肢です。スキサメトニウムは脱分極性筋弛緩薬です。神経筋接合部で受容体 NM でよいのですが、脱分極するのは「筋細胞」です。「神経終末」が脱分極するわけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
ロクロニウムは「~クロニウム」という末尾に注目し「競合的 Nm 受容体遮断薬」と判断します。スガマデクスは見慣れなかったかもしれません。スガマデクスは筋弛緩回復剤です。
血漿中でロクロニウムと 1:1 で包接体を形成し、神経筋接合部のニコチン性アセチルコリン受容体と結合可能なロクロニウムの濃度を減少させ、筋弛緩状態から回復させます。
選択肢 3 ですが
ネオスチグミンはコリンエステラーゼ阻害剤です。アセチルコリン分解を抑制するので、Nm 受容体に対して刺激を強める方向の作用です。ベクロニウムの作用とは拮抗します。従って、併用で作用が増強はしないと考えられます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
ダントロレンは筋肉の興奮-収縮連関を抑制する筋弛緩薬です。詳細は『リアノジン受容体を遮断 → 筋小胞体への興奮の伝達過程を遮断 → 筋小胞体からの Ca2+ の遊離抑制 → 筋弛緩』という作用機序です。
選択肢 5 ですが
A 型ボツリヌス毒素は、運動神経終末からのアセチルコリンの遊離を非可逆的に阻害して骨格筋弛緩作用を示します。電位依存性 Na+ チャネルを遮断するわけではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,4 です。
参考 運動神経系に作用する代表的な薬
https://yaku-tik.com/yakugaku/yr-2-3-2/
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