薬剤師国家試験 第109回 問151 過去問解説

 問 題     

グラフは、回腸平滑筋の収縮に対する薬物 A ~ C の濃度-反応曲線を示す。各薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

ただし、薬物 A ~ C は同一受容体結合部位にのみ作用し、余剰受容体及び内因性アゴニストの存在は考えないものとする。

  1. 薬物 A 及び薬物 B の内活性は、ともに 100 である。
  2. 薬物 A の pD2 値は、約 7 である。
  3. 薬物 B の効力は、薬物 A の効力より高い。
  4. 10-4 mol/L の薬物 B により生じる反応は、10-3 mol/L の薬物 C の併用により減少する。
  5. 薬物 C の EC50 値は、10-4 mol/L である。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
内活性のとりうる値は 0 ~ 1 です。従って「ともに 100」ではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は妥当です。
pD2 = -log(ED50) です。ED50 は、試験動物や試験細胞の半数に目的の薬理作用が現れる投与量です。薬物 A の ED50 は、反応率 50% の点線との交点である 10-7 と読み取れます。従って、pD2 = -log 10-7 = -(-7) = 7 です。


選択肢 3 ですが
薬物 B よりも 薬物 A の方が 低い濃度で 高い反応率を示しています。つまり少量でよく効くといえます。従って、薬物 A の方が効力が高いです。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は妥当です。
薬物 C は濃度を高くしても、反応率が大体 50% 程度です。部分的作動薬です。一方、薬物 A,B は共に濃度が高いと反応率 100% に達しており、完全作動薬です。

「完全作動薬 B が ほぼ反応率 100% を示す濃度 + 部分的作動薬 C」 では、一定割合の受容体が、部分的作動薬 C により占有されます。そのため、反応が B 単独よりも減少すると考えられます。


選択肢 5 ですが
薬物 C は、試験細胞の全てに薬理作用が現れる投与量において反応率 約 50% の薬物です。従って、EC50 値は反応率が大体 25% の所です。グラフより 10-5 ~ 10-4 のあたりと読み取れます。10-4 mol/L ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,4 です。

参考 薬物の用量と作用の関係
https://yaku-tik.com/yakugaku/yr-1-1-1/

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