薬剤師国家試験 第109回 問133 過去問解説

 問 題     

ヒ素に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 無機ヒ素化合物の毒性は、5 価のヒ素の方が、3 価のヒ素より強い。
  2. アルセノベタインは、無機ヒ素と比べて急性毒性が強い。
  3. ヒ素及び無機ヒ素化合物は、国際がん研究機関 (IARC) の発がん性分類グループ 1 (ヒトに対する発がん性が認められる) に分類されている。
  4. 無機ヒ素化合物による急性中毒時には、解毒薬として亜硝酸アミルが用いられる。
  5. 無機ヒ素化合物は、地壳中に広く分布し、汚染された地下水の飲用による健康被害が世界的に問題となっている。

 

 

 

 

 

正解.3, 5

 解 説     

選択肢 1 ですが
無機ヒ素化合物では、3価の毒性が強く、亜ヒ酸が毒物として問題となります。「…毒性は、5 価のヒ素の方が、3 価のヒ素よりも強い」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
アルセノベタインは「海洋生物」におけるヒ素代謝物です。無害な化合物です。ちなみにですが、ヒトの体内でメチル化されたヒ素化合物は毒性を有します。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
ヒ素及び無機ヒ素化合物は、発がん性分類グループ 1 に分類されています。

選択肢 4 ですが
亜硝酸アミルは、シアン化合物解毒剤です。無機ヒ素化合物による急性中毒時に用いられる解毒薬は、ジメルカプロールです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
農林水産省 HP によれば、一例としてインド、バングラデシュにおける健康被害があげられています。https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_as/basic.html


以上より、正解は 3,5 です。

類題 105-127 食品に含まれる金属
https://yaku-tik.com/yakugaku/105-127/

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