薬剤師国家試験 第109回 問132 過去問解説

 問 題     

化合物A~Eの代謝と毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

 

  1. 化合物 A は、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす。
  2. 化合物 B は、シトクロム P450 によって酸化され、生じたエポキシ体がメトヘモグロビン血症を引き起こす。
  3. 化合物 C は、シトクロム P450 によって水酸化され、次いで N – 脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンが DNA と付加体を形成する。
  4. 化合物 D は、シトクロム P450 によって速やかに水酸化され、TCA 回路のアコニターゼを阻害する。
  5. 化合物 E は、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する。

 

 

 

 

 

正解.1, 3

 解 説     

A は メタノール
B は メラニン
C は ジメチルニトロソアミン
D は PFOA (ペルフルオロオクタン酸)
E は グリホサート の構造です。

A,C,E は判別したい構造です。D は似ている PFOS が繰り返し既出の構造です。関連づけておくとよいです。


選択肢 1 は妥当です。

メタノールについての記述です。

選択肢 2 ですが
ヘモグロビン血症を引き起こす といえば「アニリン」です。アニリンの構造はベンゼン環 + アミノ基 です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
ジメチルニトロソアミンについての記述です。

選択肢 4 ですが
化合物 D の構造を見ると水酸化を受けそうな部分が見当たりません。選択肢 4 は誤りと考えられます。

選択肢 5 ですが
化合物 E の構造を見ると、エステル構造が見られません。そのため、カルボキシルエステラーゼによる加水分解により活性化されないと推測されます。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,3 です。

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