問 題
下図に示したように、乳酸脱水素酵素 (乳酸デヒドロゲナーゼ) はピルビン酸から L – 乳酸への変換を触媒する。この酵素の活性中心に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 109 番の Arg はピルビン酸のカルボニル炭素の求電子性を高めている。
- 168 番のアミノ酸残基はアスパラギンである。
- 171 番の Arg とピルビン酸との主たる相互作用は、分散力によるものである。
- 195 番の His はピルビン酸に対してブレンステッド酸としてはたらく。
- NADH はピルビン酸に対してプロトン供与体としてはたらく。
正解.1, 4
解 説
選択肢 1 は妥当です。
ピルビン酸のカルボニル基における O に、Arg 残基における末端水素が付加することで、カルボニル基が活性化を受けて求電子性が高められています。
選択肢 2 ですが
アスパラギンであれば、側鎖は アミド (CONH2) です。168 番目のアミノ酸残基は「アスパラギン酸」と考えられます。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
O ー H 間における水素結合が見られます。主たる相互作用は水素結合によるものです。分散力による相互作用ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
ブレンステッド酸とは、H+ を相手に与える物質です。側鎖末端の H をピルビン酸に対して与えていると見ることができます。
選択肢 5 ですが
カルボニル基の 炭素に求核攻撃をする矢印に注目すれば、プロトン (H+) 供与体として働いているわけではありません。具体的には H– が攻撃しているので「ヒドリド」供与体としてはたらいています。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
類題 108-107
https://yaku-tik.com/yakugaku/108-107/
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