薬剤師国家試験 第109回 問104 過去問解説

 問 題     

ビタミンB1欠乏症の予防及び治療に用いられるフルスルチアミンは、ビタミンB1(チアミン)の消化管吸収効率を改善したプロドラッグであり、体内でジスルフィド結合が還元された後、閉環してビタミンB1となる。

ビタミンB1の構造として、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

ビタミン B1(チアミン)の構造式における特徴は「チアゾール」N,S を含む複素環です。選択肢 2,4 はチアゾール部分が見られず、誤りです。

問題文に「ジスルフィド結合が還元された後、閉環」とあるので S – S 結合が切断されてできる SH 基が アルデヒドのカルボニル基にアタックして閉環すると考えられます。N から伸びている アルデヒド基部分と上に伸びている部分を入れ替えると考えやすいと思われます。電子の流れに必要な部分のみで考えると、以下のようなイメージです。

この後 O に負電荷があるため SH の H を奪い、また N 上の孤立電子対が 近くの H を攻撃して NH+ となると考えられます。

そして、酸素原子上の孤立電子対が H をアタックすると ーOH2 となります。この部分が脱水して安定化する流れではないかと思われます。この結果、チアゾール環部分から伸びる酸素がなくなるため、選択肢 1,3 は誤りです。

以上より、正解は 5 です。

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