問 題
次の記述は、日本薬局方メフェナム酸の純度試験中の類縁物質に関するものである。
本品 0.10 g をクロロホルム/メタノール混液 (3:1) 5 mL に溶かし、試料溶液とする。この液 1 mL を正確に量り、クロロホルム/メタノール混液 (3:1) を加えて正確に 200 mL とする。この液 10 mL を正確に量り、クロロホルム/メタノール混液 (3:1) を加えて正確に 50 mL とし、標準溶液とする。
これらの液につき、薄層クロマトグラフィー(薄層板に蛍光剤を含む)により試験を行う。
試料溶液及び標準溶液 25 μL ずつを薄層板にスポットし、展開後風乾した薄層板に紫外線 (主波長 254 nm) を照射するとき、試料溶液から得た主スポット以外のスポットは、標準溶液から得たスポットより濃くない。
類縁物質の混入が許容される限度値はどれか。1 つ選べ。
- 0.1%
- 0.2%
- 1.0%
- 2.0%
- 2.5%
解 説
何に注目すればいいかわからず、とまどった人も多かったと思います。本番では時間をとりすぎてはいけない問題という印象です。以下、クロロホルム/メタノール混液( 3:1 )を「溶媒」と記述します。
メフェナム酸 0.1g を溶媒 5 mL に溶かしたものが試料溶液です。この中にメフェナム酸以外の不純物 (類縁物質) も含まれているという状況です。不純物混入の許容限度は 何 % か問われています。例えば 1.0 % 許容されるのであれば、メフェナム酸 0.1 g 中 0.001 g が不純物ということです。
標準溶液を作るために、2 つ操作を行っています。
操作 1:試料溶液 5mL から 1mL 取り出して、溶媒加えて 200mL にする。溶液 1 と名付けます。溶液 1 には 0.1 ÷ 5 = 0.02g のメフェナム酸が含まれます。
操作 2:200 mL 溶液 1 から 10 mL 取り出して、溶媒加えて 50 mL にしています。これが標準溶液です。標準溶液には 0.02 ÷ 20 = 0.001g のメフェナム酸が含まれます。
ここまでまとめると、以下のように表せます。
試料溶液と標準溶液から 25 μL ずつ取り出して薄層クロマトグラフィーにかけます。以下のようなスポットを得ます。
「標準溶液から得るスポット」は「メフェナム酸と対応するスポット」です。(これを試験中に数分ですぐイメージするのは難しいと思います)。なぜなら、不純物は元々少なく、それが操作 1,2 でさらに相当希釈されているため、不純物のスポットは見えなくなるからです。
メフェナム酸の濃度は 0.001g/50mL です。試料溶液と比較しやすいように、5mL 中の濃度になおしておくと 0.0001g/5mL…(1) です。
「試料溶液から得た主スポット以外のスポット」は、不純物由来のスポットです。不純物が類縁物なので、ほぼ分子量が変わらないと考えてよいです。
選択肢 1 が正解と仮定します。
不純物が 0.1 % 含まれる時、試料溶液中に不純物は 0.1g × 0.001 = 0.0001g 含まれます。溶液 5mL なので、不純物の濃度は 0.0001g/5mL…(2) です。
(1) = (2) なので、スポットの濃さもほぼ同じです。従って、限度値は 不純物 0.1% とわかります。
以上より、正解は 1 です。
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