薬剤師国家試験 第109回 問92 過去問解説

 問 題     

状態関数に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 状態関数の変化量は系の変化の経路に依存する。
  2. 示量性状態関数においては加成性が成立する。
  3. 示強性状態関数は物質量に依存する。
  4. 体積は示量性状態関数である。
  5. エントロピーは示強性状態関数である。

 

 

 

 

 

正解.2, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
状態関数とは、系の状態が定まると、反応経路によらず一義的に定まる物理量のことです。「系の変化の経路に依存する」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は妥当です。

示量性状態関数とは、物質量に依存する量です。イメージとしては「物が多くなった時に増える量」のことです。体積や質量が代表的な例となります。

加成性とは、単純な足し算が成立する性質のことです。体積 1L と 体積 2L を合わせれば体積 1 + 2 = 3 L となる性質が具体例です。


選択肢 3 ですが

示強性状態関数とは、物質量に無関係な量です。イメージとしては「物が多くなっても変わらない量」です。別の表現をすると、「全く同じ条件の系を2つ考えて、1つに合わせたり、1つの系を半分ずつに分けてそのうち1つに注目したりした時に変化しない」ような量です。温度、密度などが代表例です。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は妥当です。

体積は、代表的示量性状態関数です。


選択肢 5 ですが

エントロピーは示量性です。他には、自由エネルギー、エンタルピー、内部エネルギーも同様に示量性です。「示強性」ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,4 です。

類題 101 – 3
https://yaku-tik.com/yakugaku/101-003/

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