問 題
質量数は変わらず原子番号が 1 増加した娘核種が生成するのはどれか。1 つ選べ。
- α 壊変
- β- 壊変
- β+ 壊変
- 軌道電子捕獲
- 核異性体転移
解 説
102 回 問 3( https://yaku-tik.com/yakugaku/102-003/)の演習を通じて、放射壊変についておさえておけば、本問は確実にとれたと思われます。原子番号が1増加しているため、中性子が陽子になっています。n → p + e です。これは β- 壊変です。
選択肢 1 ですが
α 壊変は、α 線(ヘリウム原子核であり、陽子2個と中性子2個からなる)を放出するような放射壊変です。質量数が4減少し、原子番号は2減ります。α 壊変する代表的原子は 226Ra です。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
β- 壊変する代表的原子は 3H です。
選択肢 3 ですが
β+ 壊変は、陽電子(e+)を放出するような放射壊変のことです。この結果、陽子1個が中性子1個に変換されます。従って、質量数は変化せず、原子番号が1減少します。β+ 壊変においては、陽電子だけでなく、ニュートリノ(ν)と呼ばれる粒子も放出されます。β+ 壊変する代表的原子は 11C です。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
軌道電子捕獲(EC(electron capture))は、陽子が軌道電子1個をつかまえて、中性子1個になるような壊変のことです。質量数は変化せず、原子番号が1減少します。
この壊変では、軌道電子が1個つかまるため、軌道上に空の部分ができます。その空の部分を埋めるために軌道電子が移動し、その際 X 線が放出されるのを観測することができます。この EC に伴って放出される X 線は、特性 X 線と呼ばれます。軌道電子捕獲する代表的原子は 26Al です。
選択肢 5 ですが
核異性体転移(IT(isomeric transition))とは、α 壊変や β 壊変の後で、高エネルギー状態が長く続いて、ゆっくりと γ 線を放出しながら安定な原子へと状態が変化する現象のことです。γ 線 を放出しつつ、エネルギー的に不安定な原子が安定な原子へと変化していく「γ 壊変」の一形式です。質量数や原子番号は変化しません。核異性転移する代表的原子は、99mTc です。
以上より、正解は 2 です。
参考 物理化学まとめ 原子の構造、放射壊変
https://yaku-tik.com/yakugaku/bk-1-4-1/
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