問 題
45 歳女性。調理師。仕事中に動悸を感じていたが、疲れのためだろうと深刻に考えていなかった。健康診断で不整脈の疑いが指摘されたため、近隣の診療所を受診したところ、頻脈傾向で処方 1 が処方され薬局 A で調剤された。
1 週間後、診療所から紹介された医療機関を受診し、精査したところ、肝機能及び腎機能は正常値であったものの、心房細動と確定診断されたため、新たに処方 2 が追加された。
この患者が処方 2 の処方箋を持参して、薬局 B に来局した。患者からの聞き取りで、処方 1 の薬を服用していることが確認できたが、お薬手帳には過去の治療薬の記載のみで、処方 1 の薬の記載はなかった。また、患者は、セントジョーンズワート含有食品を常用していると話していた。
処方 1 開始時の血圧 143/86 mmHg、脈拍 98 回/分
問324
この患者への薬局 B における薬学的管理に関する対応について適切なのはどれか。2 つ選べ。
- セントジョーンズワート含有食品は、薬学的管理の対象とならないと判断した。
- 血圧や脈拍などについて、薬局内の自動血圧計で測定してもらい、測定値を薬歴に記載した。
- 職業が調理師であるため包丁の使用などでの出血に注意するように説明したが、職業は個人情報であるため薬歴には記載しなかった。
- リバーロキサバンに注意が必要なビタミンK含有量の多いブロッコリーなどの食品の過剰摂取がないか確認した。
- 処方1について薬局Aに確認し、薬歴に記録を残しお薬手帳にも併用薬情報として記載した。
問325
この患者の情報の取扱いに関する薬局Bでの対応について正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 患者の勤務する会社から、ストレスチェックの一環として患者の服用している薬を知りたいと連絡があったため、情報を提供した。
- 患者から自分の薬歴を開示してほしいとの申し出があったが、薬局には開示の義務はないので断った。
- 患者の同僚が薬局に来た際、この患者もこの薬局で調剤を受けていることを教えた。
- 薬局内で示している利用目的の範囲内で、個人を特定できない匿名化を行い、近隣の薬局との症例検討会で発表した。
- マーケティング会社から、医薬品の使用率調査として患者の健康保険証の記号・番号等を含めた情報提供を依頼されたが、この情報は個人情報に該当するため断った。
正解.
問324:2, 5
問325:4, 5
解 説
問324
選択肢 1 ですが
CYP 3A4 が、セントジョーンズワート(気分を整えるハーブの一種)で誘導を受けるといった特徴が知られています。薬学的管理の対象となる健康食品の1つです。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
選択肢 3 ですが
個人情報なので、取扱いに注意しますが、薬歴に必要な情報であり、記載すべきです。選択肢 3 は誤りと考えられます。
選択肢 4 ですが
リバーロキサバンは、選択的かつ直接的第 Ⅹa 因子阻害剤です。ビタミン K と無関係な作用機序なので、ビタミン K 含有量の多い食品についての確認は不要です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
以上より、問 324 の正解は 2,5 です。
問325
選択肢 1,3 ですが
患者本人の同意が必要と考えられます。選択肢 1,3 は誤りです。
選択肢 2 ですが
患者本人から薬歴開示の申し出なので、改正個人情報保護法 33 条 2 項により、原則、開示請求に応える義務があります。選択肢 2 は誤りです。
以上より、問 325 の正解は 4,5 です。
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