薬剤師国家試験 第108回 問286-287 過去問解説

　問 題　　　　　

55 歳男性。身長 175 cm、体重 81 kg。3 年前に健康診断で高血糖を指摘され、近医を受診したところ、2 型糖尿病と診断された。経口血糖降下薬による治療を受けていたが、血糖コントロールが不良のため、6 ヶ月前よりインスリン注射開始となった。

今回、かかりつけ薬剤師が薬剤を交付する際にフィジカルアセスメントを行ったところ、注射部位に軽い硬結が認められた。

(身体及び検査所見)

血圧 118/68 mmHg、AST 15 IU/L、ALT 16 IU/L、γ-GTP 32 IU/L、血清クレアチニン 1.06 mg/dL、eGFR 57.6 mL/min/1.73m²、空腹時血糖 110 mg/dL、HbA1c 6.6 %、TG(トリグリセリド) 190 mg/dL、総コレステロール 208 mg/dL、HDL-C 44 mg/dL、LDL-C 90 mg/dL、尿酸 7.4 mg/dL、尿糖 (－)、尿蛋白 (－)、尿中ケトン体 (－)

問286

この患者に対するインスリン注射に関する指導の内容として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. インスリンによる治療中は、食事療法を中止する。
2. 使用開始後の超速効型インスリンペン型製剤は、室温で保管する。
3. 現在の状態では、持効型溶解インスリン注射をやめても良い。
4. 硬結防止のために、注射部位は前回の注射部位から少なくとも 2 ～ 3 cm 離す。
5. 低血糖症状を感じたらすぐに横になって休む。

問287

今回の身体所見と検査結果を基に、糖尿病合併症や併存症の進展の防止のために、追加が望ましい薬物はどれか。2 つ選べ。

1. ヒドロクロロチアジド
2. アトルバスタチン
3. ペマフィブラート
4. トピロキソスタット
5. グリメピリド

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

問286

選択肢 1 ですが
食事療法は継続します。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。

選択肢 3 ですが
HbA1c （基準値 5.5 % 未満）に注目すると、継続すべきと考えられます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。

選択肢 5 ですが
まずブドウ糖補給です。休んでる場合じゃないです。選択肢 5 は誤りです。

以上より、問 286 の正解は 2,4 です。

問287

高めの検査値と、対応する薬を選べるか、という問題です。

血圧、肝機能、LDL – C に問題ないため
ヒドロクロロチアジド、アトルバスタチンは不要です。

また、インスリン使っているから、血糖に更に追加は不要と考えられるため、グリメピリドも不要です。

・TG の基準値 30~149 よりも少し高め → ペマフィブラート
・尿酸 の基準値 7.0 mg/dL 以下 よりも少し高め → トピロキソスタット

の追加が妥当です。

以上より、問 287 の正解は 3,4 です。